岸田文雄首相Photo:Eduardo Munoz Alvarez/gettyimages

「僕だって見るのも嫌だ」「秘書官室はみんな反対」などの性的マイノリティーに対する差別発言で更迭された首相秘書官。しかし元をたどれば、発端は岸田文雄首相の「(同性婚が法制化されれば)社会が変わってしまう」発言にある。(フリーライター 鎌田和歌)

首相秘書官の更迭
増税は迅速なのに差別問題は?

 あっという間の更迭劇だった。

 荒井勝喜元首相秘書官による性的マイノリティーへの差別発言を毎日新聞が速報で報じたのは先週末、2月3日の夜。SNSを中心に批判が噴出し、翌日には岸田文雄首相が「言語道断」と更迭を発表した。

 しかし発端となったのは岸田首相自身による「(同性婚を認めれば)社会が変わってしまう」発言だ。岸田首相は2月8日に国会で野党議員から質問され「決してネガティブなことを言っているのではなく、もとより議論を否定しているものではない」と説明したが、弱々しい釈明に映った。

 国民の半数以上が賛成する同性婚には「慎重な検討が必要、議論が必要」と繰り返す一方で、賛成と反対が拮抗する防衛費の増額や、反対が賛成を上回る防衛費増額のための増税方針については迅速に決めてしまおうとする。

 国民の声は国会に反映されず、一部の政治家やその取り巻きの声ばかりが強いように見える。