今年に入ってから騰勢を強めている商品が、金である。金価格の動向を探ると、従来のロジックでは説明がつかない部分がある。「有事の金」にいったい何が起こっているのか。(マーケット・リスク・アドバイザリー共同代表 新村直弘)
商品市場において
「通貨」の側面を持つ金
昨今の商品市場において、市場関係者の注目を集めているのが、金である。
新型コロナウイルスからの景気回復に伴って、2020年8月に過去最高値の1トロイオンス当たり2070ドルを記録して以降、乱高下を繰り返してきた。
22年9月に1650ドル台へと底を打ってから上昇基調に入り、今年に入って1900ドルを突破。再び2000ドルをうかがい、過去最高値を目指すような動きを見せている。
詳しくは後述するが、上昇の一途をたどる昨今の金価格の動きは、従来のロジックでは説明がつかないほど興味深いものになっている。そこで、今回は市場関係者が熱い視線を送る金について、詳しく分析したい。