金相場続落、インフレ進行でも景気後退でも一進一退の動きを続ける理由Photo:PIXTA

3月に史上最高値に迫った金相場。その後、ドル高、金利高の進行という悪材料にもかかわらず大きく値を下げずに推移していた。7月に入って主要国がインフレ抑制のために利上げに動き、金相場は値を崩した。今後もインフレ動向、景気動向にかかわらず一進一退の動きとなりそうだ。(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員 芥田知至)

3月上旬にウクライナ情勢緊迫化を
背景に史上最高値に迫る

 3月上旬に金相場は1トロイオンス当たり2000ドルを上回り、史上最高値に迫った。その後、ドル高、金利高という逆風の中でも健闘してきた金相場だが、足元は調整色が強まっている。

 振り返ると、3月初めは、ロシア軍によるウクライナへの攻撃が一段と激化する中、株式などリスク資産が売られる一方で、安全資産である金は買われた。

 4日には、ザポリージャ原子力発電所で戦闘が発生してロシア軍が制圧する事態に至った。8日には、米英がロシアへの追加制裁としてロシア産エネルギー輸入の禁止などを発表する中、原油相場が急伸して経済混乱への懸念が一段と強まり、金は一時、2069.89ドルと2020年8月の史上最高値(2072.50ドル)に迫った。

 その後、騰勢は一服した。9日は、UAE(アラブ首長国連邦)の駐米大使が原油増産支持を表明して原油が急落したことを受けて、金も2000ドル割れまで売られた。

 14日からはロシアとウクライナによるオンラインでの停戦交渉を受けて、停戦期待から金は下落し、16日には一時1900ドル割れまで下げた。

 その後は、ウクライナ情勢の悪化懸念が金の強材料になる一方で、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長による0.5%の利上げに言及したタカ派的発言(3月21日)が売り材料になるなど一進一退の推移となった。

 28日は、翌日からロシアとウクライナの停戦協議がトルコで行われると発表され、事態改善期待から金の下落幅がやや大きくなった。29日も続落し、再び一時1900ドルを下回った。

 足元も1700ドル台にまで下落している上に、今後も、景気動向、インフレ動向にかかわらず一進一退の動きとなりそうだ。その理由を次ページから分析してゆく