新型コロナウイルス禍に円安、資源・原材料の高騰、半導体不足など、日本企業にいくつもの試練が今もなお襲いかかっている。その中で企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は、大和ハウス工業や積水ハウスなど「住宅メーカー」業界の3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)
住宅メーカー3社は増収も
利益面では勝敗鮮明
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の住宅メーカー業界3社。対象期間は2022年8~12月の直近四半期(積水ハウスは22年8~10月期、大和ハウス工業、積水化学工業は22年10~12月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・大和ハウス工業
増収率:5.0%(四半期の売上高1兆1604億円)
・積水ハウス
増収率:13.7%(四半期の売上高7064億円)
・積水化学工業
増収率:4.7%(四半期の売上高3045億円)
住宅メーカー3社は、いずれも前年同期比で増収だった。四半期増収率は、3社そろって「7四半期連続」でプラスが続いている。
中でも大和ハウス工業と積水ハウスは、第3四半期累計の売上高が過去最高を更新するなど好調だ。積水化学工業の第3四半期累計売上高も、新型コロナウイルス感染拡大前の20年3月期第3四半期の水準を上回った。
ただし、売り上げ面では絶好調な住宅メーカー3社だが、利益面では優勝劣敗が鮮明になっている。2社が増益となった一方、1社だけが減益に沈んだのだ。
さらに増益となった2社の中でも、1社は利益面で過去最高を更新した一方、もう1社は通期業績予想を下方修正するなど明暗が分かれている。
3社の売り上げが好調の要因は何か。利益面で「独り負け」となった1社と、残る2社の状況とは――。次ページでデータを交えて解説する。