人は誰しも多面性を持っています。ビジネスでのお付き合いがある人に見せる顔、親しい人にしか見せない顔など、相手によって振る舞い方や見せ方が少なからず違うのではないでしょうか?これはビジネス上、必要な処世術でもあります。今回は、ファーストクラスに乗る人が巧みに見せる表の顔と裏の顔についてご紹介します。(CCI代表取締役・元国際線チーフパーサー 山本洋子)
エグゼクティブの裏表
CAに見せる顔と仕事モードの顔
ファーストクラスに乗るエグゼクティブの多くは、社会的に知名度のある方です。お顔だけ拝見しても誰だかわからないような人でも、実は誰もが知る有名企業の経営者であったり、名の通った芸術家であったり、学者であったりと、一般的には素性が知られた知名度のある方がお乗りになります。
知名度のある方は、名前や肩書だけで、良い意味でも悪い意味でも世間の注目を集めます。
例えば企業の経営者であれば、その人の言動がその会社の方針として伝わり、その人の振る舞いがその会社の品位として伝わり、それが会社の評判に直結したりすることもあります。特に公の場での言動は、本人が意図せず何気なく発した言葉であっても、大きな影響をおよぼすことがあります。
政治家が何気なく発した一言で辞任に追い込まれたりするのと同様、責任のある立場の人の言動は、本人の意識がどうであれ、社会的に大きな影響力を持つものです。そのため外向きの顔では無意識のうちに紳士淑女的な振る舞いが身につく方が多いのです。
ニューヨーク便のファーストクラスに、ある会社の社長がご搭乗になりました。CAには常ににこやかに笑みを浮かべて話しかけられ、とても温厚な印象の社長です。ビジネスクラスに座るお付きの社員と一緒にご搭乗になったのですが、その日は少し様子が違い、CAも驚く事態になったのです。