掲載物件No.1にこだわる理由
――坂上:
海外の部門は、どのように展開していますか?
井上:
海外部門は80名程度で、中国、台湾、タイ、インドネシアの4ヵ国に展開しています。台湾はすでにある企業への投資ですが、それ以外の3エリアは合弁、もしくは独資の子会社として直接展開している形です。
――坂上:
「HOME'S」の掲載物件数が約430万件でNo.1ということですが、これは物件全体のどのくらいをカバーしていますか?
井上:
この430万件という数字は新築分譲系のマンションなどを含まず、主力の賃貸・売買流通の物件数になります。これはダントツのNo.1で、創業時からこだわってきたポイントです。
日本国内には住居や別荘すべて含めて「物件」と言われるものが5700万件ほどあり、世帯の数は約5000万。差し引き700万件が空いている状態です。そのうち老朽化などで賃貸にも出していないような物件を除いた実需が500万件くらいで、これをすべて網羅していこうというのが我々の戦略の柱です。
現在扱っている430万件の情報は、重複を含めたレコード数ですので、実際には情報が600~700万件まで増えたときに、ほぼ実需の500万件という数に到達できると思います。
――坂上:
それほどまで掲載物件数No.1にこだわる理由は何ですか?
井上:
理由は大きく2つあります。まずは、ユーザーが情報量を求めているからです。色々なアンケートを実施すると、住み替えユーザーの多くが不動産情報サイトを選ぶ際に「情報が豊富であること」を挙げています。そのため、差別化の要素として物件数を重視しました。
――坂上:
理由のもう1つは?
井上:
皆さんもご存知かもしれませんが、不動産業界では、お客様をオーバートークで自社の売上や利益に有利な方向に誘導するようなケースがあります。物件情報を気軽に比較できなかった時代は、「じゃあこの親切そうな不動産屋さんの言うことを信じて、契約しちゃおうかしら」と、疑心暗鬼になりながら決めていくこともありました。
私たちが100%の物件情報にこだわるのは、こうした情報の非対称性を無くしたかったからなのです。