「失敗を恐れず挑戦できるよう背中を押すのが私の役割」などと語った近社長。決算説明会はオンラインで行われた
なぜトヨタは自動車業界で“独り勝ち”しているのか?4月就任の近健太社長が、決算会見で語った発言の数々と、その真意とは?強さの源泉である「独特な企業文化」に迫る。(佃モビリティ総研代表 佃 義夫)
トヨタが日本初・売上高50兆円を突破
販売台数は5年連続世界1位で独り勝ち
「大きな環境変化がある中でも、3.8兆円の利益を上げることができた」
4月1日にトヨタ自動車の社長・CEOに就任した近健太氏が5月8日、2026年3月期の決算発表会見にて、こう総括した。
連結売上高は50兆6849億円(前期比5.5%増)で、日本企業で初の売上高50兆円超えを果たした。営業利益は3兆7662億円(同21.5%減)で減益。いわゆるトランプ関税の影響が1兆3800億円の下押し要因だ。
周知のとおり自動車業界には逆風が吹いている。トランプ関税に加えて、電気自動車(EV)の需要減退で各社は大幅な戦略転換を迫られた。日米欧の大手は、工場閉鎖や人員削減を含むリストラ、それらに伴う減損処理による大型損失が相次ぐ。
一方で、中国勢は販売台数や業績を伸ばし、AI(人工知能)やソフトウエア施策などの技術力も積み上げてきた。日米欧の大手は新たな対抗に迫られている。さらに足元では中東情勢悪化による減産、原材料や部品の調達リスク、サプライチェーン危機が高まってきた。
かつてトヨタと世界覇権を争った独フォルクスワーゲンは営業利益が半減し、米ゼネラルモーターズやフォードも業績を悪化させている。ホンダは上場以来初の営業赤字転落見込み、日産自動車は5330億円の最終赤字だった。
こうしたライバルに比べると、トヨタの業績は非常に底堅い。世界販売台数は1047万台(前期比2%増)で過去最高を記録。ハイブリッド車(HV)を筆頭に、プラグインハイブリッド車やEV、燃料電池車と幅広いラインナップの全方位戦略かつ地域に根差した施策で、市場の変化に対応できたのが強かった。







