情報の非対称性を解消したい
――坂上:
情報の非対称性とは?
井上:
不動産業界のプレイヤーの方々のほうが、情報を大量に持っています。プロですから、税法、ローン、物件の周辺情報まで含めて、すべて熟知しています。
一方で、不動産を借りる、買うという人たちはどんなに勉強しても素人です。そこには大きな情報量の乖離がありました。この情報の格差を利用して、自分たちに都合のよい契約をさせようとする誠意に欠ける不動産事業者がいても、お客様が惑わされないような状態にしたかったのです。
「HOME'S」のサイトさえ見れば、その詳細な物件情報、エリアの情報、周辺環境まで含めて全部わかる。すると、お客様が自分で正しい判断をできるようになる。これが、私たちが目指している「情報の非対称性を解消していこう」という形です。
――坂上:
掲載数を今のように増やすまでに困難はありましたか?
井上:
実は、従来とっていた価格体系では約190万件がピークで、それ以上どうしても伸びなかった時期がありました。
その後、集客効果が多少上がってきたこともあり値上げさせて頂いたところ、さらに年間の平均掲載物件数が130万~140万件まで減りました。いかに加盟店を増やそうと、いかに集客効果の高さを説いても、そこから数字が動かなくなりました。
――坂上:
その状況を脱したきっかけは何ですか?
井上:
掲載物件数が伸び悩み、もういよいよ「価格体系の変更に踏み込まざるを得ない」と考えました。目的が売上や利益というよりは、物件数をNo.1にして、情報インフラになるということがまず大命題としてありました。それならば課金モデルを変えようと。
――坂上:
具体的にはどのような課金モデルに?
井上:
以前は同業他社さんと同じように、サイトに掲載する物件の数に応じて利用料をお支払いただく「掲載課金」モデルでした。それを問い合わせの数に連動してお支払い頂く「問合せ課金モデル」に変更しました。
例えば、月額5万円や10万円のように固定費的に頂いていたのを、基本利用料の月額1万円さえお支払いいただけば、あとは物件を載せ放題にしたのです。