職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。
気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか?
この連載では、「顧客ロイヤルティ(お客さまとの信頼関係づくり)」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきた『気づかいの壁』の著者、川原礼子さんが、「気がつくだけの人」で終わらず、「気がきく人」に変われる、とっておきのコツをご紹介します。

長い会議をスパッと終わらせる「気がきく一言」とは?Photo: Adobe Stock

終わりが見えない「気まずい状況」

 つい話し込んでいるうちに、「あれ、これはいつ終わるのだろう?」と、不安に思うことがあります。
 友達同士のおしゃべりであれば問題ありませんが、ビジネスシーンでは、「そろそろ次の予定が……」と切り出すのは勇気がいるものです

 そういうストレスをなくすために、打ち合わせや会議をはじめる際に、

「今日は15時までにしましょうか」

 と予告するのも気づかいです。

 特に社内の会議の場合、「あれ? まだ会議室を前の人が使っている……」という経験をしたことがあなたにも何度もあるでしょう。
 部屋の中が社内の人間だけならまだしも、お客さまが来ている場合は、ドアをノックして追い出すわけにもいきません。

 そういう事態を避けるためにも、「次の利用者を確認する」という一手間は不可欠です

 さらに気が利く人の場合、役員が参加する会議で使用する部屋や、来客利用の予約が前後に入っている会議室は、あらかじめ候補から外します。
 大勢の参加者が想定される会議のあとも、候補から外しておきます。

 終わった後も意外とダラダラしている人がいて移動に時間がかかりますし、空気の入れ替えをする時間もほしいからです。
 自分たちが会議室を使う前後の予約チェックは欠かさないようにしましょう。

「5分前」に切り上げよう

 大事なお客さまを迎えるための予約ならば、最低でも「15分前」から部屋を押さえておくのが無難です。
 自分たちが使う場合も、次の予定の「5分前」に切り上げるようにすると完璧です。
 打ち合わせや会議の冒頭で、「今日は14時55分で終了します」と予告し、参加者にも協力してもらいましょう

 これは余談ですが、会議室を利用する際、毎回、消臭スプレーを持参する人を見かけたことがあります。
 一瞬、「その手があったか!」と参考にしようと思いましたが、自分が会議室から立ち去るときに、その姿を見たら傷つくなと思い、やめました……。
 そういう余計な気づかいを減らすためにも、「5分前」の行動を全員が当たり前にすることが大事なのだと思います。

川原礼子(かわはら・れいこ)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。