多くのビジネスパーソンから、「会議がうまく仕切れない」「無駄な会議だと言われる」「何度も似たような会議を繰り返してしまう」「結論が出ない」といった悩みを耳にする。しかし、「1ページ」のメモを事前に作り、その場で配布してうまく活用すれば、会議の進行は大きく変わる。何より、「1ページ」の力は、ミーティングをうまく仕切れなかった著者自身が、P&G、楽天、フェイスブック、MOON-Xと業界も会社も、自分の役割さえも変わっても、一貫して変わらず、実感し続けている。当連載では、『今すぐ結果が出る 1ページ思考』(長谷川晋)にまとめられている「1ページ」を活用した会議の進め方などを解説していきたい。

「会議を仕切れない」ビジネスマンが気づいた、最も効果的な方法Photo: Adobe Stock

「1ページにまとめる」という大きな気づき

 プロジェクトをうまく進められず、ミーティングもうまく仕切れず、四苦八苦しながら仕事をしている中で、大きな気づきがありました。

 入社して半年ほど経ったとき、どうにかしてうまくミーティングを進めたくて、苦肉の策とも言うべきか、話したいことを3、4行くらいで箇条書きした紙をプリントアウトして持っていったのです。そうすると、ミーティングがそれまでとは違って、少しうまくいきました。

 もともと丁寧に何かをまとめて紙に書くタイプの人間ではありませんでした。話したいことを紙に書いていき、多少なりとも議論がスムーズに進んだ経験を経て、だんだんと気づいたことがありました。ディスカッションをして、議論がすり合わないときは、だいたいパターンがあったのです。

 例えば、それぞれのメンバーが思っているプロジェクトの目的がずれているとき。あるいは、それぞれのメンバーが持っている情報が不均衡だったとき。

 先に書いた、営業がやるべきだと思っていること(=小売店や卸店のニーズに応えること)と、研究開発がやるべきだと思っていること(=優位性のある製品を導入すること)の違いは、まさにそれです。情報についてもそうです。ここで重要なポイントは「誰も間違っていない」ということです。ただ、プロジェクトを進める上での問題は「チームとして目線が合っていない」ことです。

 営業は自分たちの持っている情報に基づいて、研究開発は自分たちの分析結果に基づいて、それぞれ「何をするべきか」を決めてしまうと、当然ながら結論は違ってしまうわけです。

 しかし、このような情報を参加者に共有すれば、実は大手量販店が棚替えで重視する条件を考慮しない限り、そもそも製品をお店に置いてもらえない可能性がある、ということに気づくことができます(これは少し極端な例ですが)。どんなに競争優位性のある製品を一生懸命に作ったところで、お店に置いてもらえなければ、消費者がそれを見つけて、購入し、製品の良さを実感するチャンスすらないという可能性もあります。

 だから、それぞれが持っている情報を共有した上で、まず何をやるべきなのか、その先は何をやるべきなのかをすり合わせていかなければいけないということに気づいたのです。そうした情報がもし共有されておらず、それぞれがそれぞれの情報に基づいて意見を言い合って、結論だけをすり合わせようとしても、うまくいくはずがありませんでした。

 つまり、いかに目的と情報をすり合わせるか、目線合わせをしていくか、が大事になるということです。それをしっかりとミーティングで実現していく仕組みがあったほうがうまくいく。そのことに、次第に気づいていったのです。