そしてもう1つは、社会的課題について考える際に、まず信頼できる言論空間から、主だった主張を集めてくることです。

 すでにどのような議論が行われてきたかということを把握するとともに、それらの議論で見落とされていることはないか、エビデンスが欠けているところはないかをチェックしながら、自分なりに考えてみる。メモなども駆使して、読んだこと、考えたことの痕跡も残しましょう。

 これも、自分の意見をつくる非常によいトレーニングになります。

 繰り返しになりますが、こうして形成された意見は、思考の終着点ではありません。

 いったん意見をもった時点で「自分なりの正解は出せた、以上」と思考停止するのではなく、引き続き考えていく。現時点の意見は、より筋のいい意見を醸成していくための出発点、あるいは1つの通過点に過ぎません。