「デート代おごりおごられ論争」が何度も炎上する理由、“主語デカ”に要注意写真はイメージです Photo:PIXTA

もう、何度目なのか。デートの際に男性がおごるべきなのか、そうではないのかといった「おごりおごられ論争」がSNS上で勃発している。この問題に飽きている人や興味・関心のない人はこぞってスルーし、一部の強い意見の持ち主の言葉だけが目立って「対立」があるかのように錯覚させられる。そのようなSNS上の特性が、この「論争」に顕著であるように感じる。(フリーライター 鎌田和歌)

「男性がおごって当然」派はもはや少数派?

 まず最初に書いておきたいのだが、筆者は「初デートでは男性におごってもらって当然だ」と思っている女性をほとんど見たことがない。「おごってもらえたらうれしい」「結果的におごってもらえたらその際は感謝する」程度はあるかもしれないが、「当然」とか「おごってくれない男性は恋愛対象外」といった意見を聞いたことがない。

 もちろんこれは、筆者の半径5メートル以内での観察であるので、世の中には「おごって当然」の女性も実際にいるのだろう。ただ、令和の日本ではどちらかというと「当然」派の方が少ないのではないかと感じる。

 これはネット上でもすでに指摘されている。

 独身研究家の荒川和久氏がJ-CASTニュースが配信したYahoo!ニュースのコメント欄で、内閣府の「令和3年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査」を引用して、男性がおごるという考え方に賛成する男女の割合はともに少数であるとコメント。このコメントが、ツイッター上でも真実を突いていると話題になった。

 実際に内閣府調査を確認してみると、「デートや食事のお金は男性が負担すべきだ」に「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答した人の割合は、男性の37.3%、女性の22.1%で双方半数以下である。また、どちらかというと男性の方が「男性がおごるべきだ」を内面化していることがわかる。

「デートで男性がおごるべきだ」とは思っていない男女が今や多数派であるにもかかわらず、ネット上では極端な意見が悪目立ちし、それを元に要らぬ「論争」が始まる。これはまったく不毛な事態としか言いようがないのではないか。

 それでも。「おごりおごられ論争」は、ネット上で何かと物議を醸し、バズり、PVが稼げる「男女論」に触れるし、特別な知識がなくとも誰もが参戦できる話題である。だからこそ、このように何度も話題になってしまうのだろう。