なので、僕を含めた「内向型」の人たちを擁護するために、少し踏み込んだお話をしよう。実は、外向型より内向型の人のほうが「脳内物質ドーパミンを分泌しやすい」、つまり「刺激を受けやすい」という事実がわかっている。平たく言うと、内向型の人のほうが高感度であるため、圧倒的に「疲れやすい」。

 だから、自分自身のタイプを認識していないと、日常生活で多くの情報にさらされ消耗してしまい、「なぜかエネルギッシュに動けない」と感じてしまう。だからこそ「しないことを決めて、消耗の少ない習慣作り」が重要になる。

 生まれ持った性質ゆえに、その敏感な感受性を修復したり後天的に変えたりすることはできない。だからこそ、自分自身をよく知り、自分の強みを発揮していけるよう対策していくのが現実的だ。諦めるの語源は「明らめる」であると、仏教の世界では書き表される。我慢したり、断念することではない。事実を明らかに見るということであり、それをありのままに受け入れるという意味である。自分の価値観がクリアになればなるほど、「大事ではないこと」は、どうでもいいと思える。そこにエネルギーを割くのは無駄であると潔くなれる。「○○のために、これはしなくてもいい」とポジティブな諦めができるようになる。

モチベーションが鮮明になれば
誰でも身軽な暮らしを目指せる

 僕が観測している限り、ミニマリストと呼ばれるような「モノが少ない生活をしている人」は、内向型に多いと感じる。もちろん科学的な研究データがあるわけでもない。が、刺激で疲れやすい人がモノを減らしたがる、というのは自然な流れだろう。

 事実、外向的な人は「高級ブランド品などで権威やステータスを示したがる傾向がある」「外向的で低所得な人ほど、見栄でお金を浪費しがち」というイギリスの研究もあるほど。

 これだけを聞くと、内向型はモノを減らすと生きやすい一方で「外向型はモノを減らすことや、ミニマリストに向いていないのでは?」と思われるかもしれない。しかし、僕の考えは違う。むしろ逆だ。「外向型で刺激を求めがちということを自覚しておけば、さらなる刺激をモチベーションにモノを減らせる」「外向型がモノを減らすと、身軽さに磨きがかかる」ということである。僕の友人にも、外向型のミニマリストがいる。俗に言う「パリピ」と呼ばれる属性にもかかわらず、業者なしで引っ越せるほどにモノが少ない。自分の権威やステータスを示すようなモノにも、興味がないようだ。

書影『手放す練習 ムダに消耗しない取捨選択』『手放す練習 ムダに消耗しない取捨選択』(KADOKAWA)
ミニマリストしぶ 著

 そんな外向型の友人にモノを減らし始めた理由を聞いたところ、「旅行や引っ越しが好きだから、フットワークを高めるためにモノを減らし始めた」と言うのだ。フットワークを軽くしておくことで、旅行や夏フェスなど「刺激が多い場所」へたくさん行ける。モノに刺激を求めるのではなく、経験によって刺激を満たしているのだ。

 そして、たくさんの刺激を浴びても疲れにくい外向型が、フットワーク軽く動けるようになると……人一倍、趣味を楽しんだり、仕事をバリバリこなすことができたり、外向型の有り余るエネルギーを増幅させる手段になる。

 つまり、弱みを克服するためだけにモノを減らすのではなく、強みを伸ばすためにモノを減らすという考え方だ。ミニマリズムの真髄は「無駄を削ぎ落として本質を“強調”すること」である。内向型にせよ、外向型にせよ、「自分がどんな人間か」を知っておけば、どのような目的でモノを減らすべきか、モチベーションが鮮明になり、目標を見失うこともなくなる。