インフレと金利上昇で「日本財政が破綻する」は本当か?「家計預貯金→(銀行の国債保有+日銀当座預金)→日銀の国債保有」の構図は継続中 Photo:Reuters/AFLO

 20余年にわたって続いた日本経済の物価と賃金の「凍結」状態が、ようやく解ける可能性が見えてきた。もともとはエネルギー・食料資源の国際価格上昇という外性的要因で始まった物価上昇だが、企業は以前より価格転嫁に積極的になり、経営者や労働組合も賃上げに前向きな姿勢を強めているからだ。

 ただし脱デフレの時代となれば国債利回りも上がり、1000兆円を超える日本政府債務が利払いで雪だるまのように膨張すると語る意見がある。また政府の財政赤字と債務の積み上がりは、民間の投資(有形・無形の資本形成)をクラウディングアウト(締め出し)するため日本経済の低成長の要因だと語る経済学者の声も強い。

 今回はこの2点を考えてみよう。結論から言うと、前者の意見は非常に一面的、短絡的であり、後者の意見は因果関係を読み違えている。

国債利回り、経済成長率、政府債務の関係

 日本政府のグロス債務残高は2022年度末の見込みで1026兆円である。従って1%ポイントの国債利回り上昇で約10兆円も政府の利払い費は増える。これは現在の政府一般予算規模の約9%に相当する額であり、そのような利払い費の増額を賄えるはずがないので、政府債務は雪だるま式に増えるという議論がある。

 しかしこの議論は重要な複数の要因を見落としている。政府債務の規模の大小は経済の規模との比率で語るのが常識だ。通常、経済の規模としては名目国内総生産(GDP)が使われる。政府債務残高が増加しても、名目GDPがそれ以上に増加すれば、政府債務の対名目GDP比率(以下「政府債務比率」)は低下する。その場合、政府債務は持続可能であると言える。逆に政府債務比率が上がり続けるならば、それはどこかで限界にぶつかるので、持続可能ではない。