会話の「7割の完成度」とは

 速さに加えて7割と言いましたが、「なにをもって7割なのか」の基準もここで示したいと思います。ズバリ、基準は「論理的であること」です。相手の話や議論の流れに沿って論理的に考えることができていれば、それはヒットを打っていたと十分評価することができます。

 多くの方が、「今さら論理的思考なんて……」と思うかもしれませんが、ただの論理的思考ではありません。「論理的思考」を「1秒で完結させる」ことが大事なのです。常に頭を働かせながら瞬間的に情報を処理していくことは、決して簡単なことではありません。短い時間の中でも論理が通っていればそれだけでOKです。

 お笑い芸人のなかでも両方を同時にこなせる人は少数派で、シンプルながら究極の能力だと言えます。この能力を持っていた印象的な教え子は3人います。今やその姿を見ない日がない、かまいたちの山内くん、独自の世界で高い支持を集めている天竺鼠の川原くん、そして、『M-1グランプリ2016』のチャンピオンである銀シャリの橋本くんです。

 彼らはどんな状況でも沈黙することはなく、必ず気の利いた言葉を返してきます。なかでも特に覚えているのは、私が銀シャリのネタにアドバイスをしたときに橋本くんが「さすがオール阪神・巨人師匠のスーパーモンスターブレーン!」と瞬時に返してきました。「よくそんなスラスラと言葉が出てくるな」と非常に感心しました。

 1秒で頭の回転を速くするために「適当に反応する」のもダメですし、いい答えを出すために「時間をかけすぎる」のもダメです。

 あくまで、その両方を両立してはじめて、合格点である7割の完成度を常に維持できるようになります。意識するだけで大丈夫なので、「スピードとクオリティ」両方にこだわった考え方を一緒に学んでいきましょう。