(2)人との交流、感謝

 幸福感は誰かとの関係のなかでつくられることがわかっています。家族や他人とどう関わっていくかはとても重要な問題です。

 カリフォルニア大の研究では、「感謝」の気持ちを書き出すと幸福感が向上することがわかりました。他人に感謝できる人は、幸福感が高まっていくのです。

 毎朝元気に人に挨拶をし、そして毎日寝る前に振り返り、小さな感謝をひとつ見つけてから寝ましょう。

(3)他人の視線を意識せず、挑戦を続ける

 やりたいことを積極的にできているかは幸福感に大きな影響を与えます。自分の生活が誰かに管理されていると感じると、幸福感は低下してしまいます。自分で管理して挑戦できる自由な環境は大事です。挑戦できるということは、失敗できる環境、何とかなるという安心感が必要です。

 失敗を恐れず、いろいろなものに挑戦したいところです。人には「スポットライト効果」といって、他人が自分に注目していると感じやすい傾向があります。しかし、実際には他人はそんなにあなたに注目していませんし、失敗に対して批判的ではありません。新しいジャンルの本を読むといった小さな挑戦からでも始めていきましょう。

(4)自分らしく生きる

 周りの人と協調しながらも、ありのままの自分を出すことが幸福感をつくります。相手に対して感じたポジティブな気持ちは相手にきちんと伝え、ネガティブな思いは陰口にせず、自分はやらないように心に刻みましょう。

「相対所得仮説」のように、他人と比較して幸福感を得るのではなく、誰から何をいわれてもくずれない揺るぎない自分らしさをつくりましょう。

(5)適度な運動

 アメリカのイエール大とイギリスのオックスフォード大の共同研究により、適度な「運動」を行なっている人は、行なっていない人よりも精神状態が好調で、幸福度が高くなることがわかりました。アメリカのデューク大でもメンタルは運動で回復するといった研究結果があります

 簡単な運動でも習慣化するのが大切です。バスをひとつ前で降りて歩く程度のものでもいいと思います。そのときは顎を上げて胸を張って歩いてください。

 また、アメリカのベイラー医科大学付属テキサス小児病院が中心になったゲノムデータの分析によると、主観的幸福(人々の主観的な生活の評価)に関連している3つの遺伝的バリアント(多様体)が確認され、幸福感は遺伝的な影響を受けているといいます。

 共同研究の南カリフォルニア大学・経済社会研究所のベンジャミン准教授は、遺伝的特徴は、心理的特徴に影響を及ぼすひとつの要素にすぎなく、心理的特徴には、環境が遺伝的特徴と少なくとも同程度の重要性をもっていると説明します。幸せを感じとる力は遺伝的な要素があるものの、半分は後天的に考え方を変えることで十分につくり出せるものでもあります。