新型コロナウイルス禍に円安、資源・原材料の高騰、半導体不足など、日本企業にいくつもの試練が今もなお襲いかかっている。その中で企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は日本製鉄、住友金属鉱山などの「製鉄/金属製品」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
鋼材需要は低迷気味
それでも各社2桁増収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の製鉄/金属製品業界の4社。対象期間は2022年8~12月期の直近四半期(4社の対象期間はいずれも22年10~12月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・日本製鉄
増収率:17.4%(四半期の売上収益2兆873億円)
・住友金属鉱山
増収率:12.5%(四半期の売上高3651億円)
・ミネベアミツミ
増収率:22.0%(四半期の売上高3714億円)
・JFEホールディングス
増収率:16.4%(四半期の売上収益1兆3443億円)
世界的インフレとコスト増の影響で、製鉄/金属製品業界の顧客の購買力および鋼材需要は急速に低下している。しかし、同業界の主要企業4社はいずれも前年同期比で2桁増収となっている。中でも日本製鉄とミネベアミツミは、通期で過去最高益を見込むほどで、好調な業績となっている。一体なぜか。
次ページ以降では、各社の増収率の推移を紹介するとともに、利益面はどうなっているのか見ていく。