【元JALのCAが伝授】「また仕事がしたい」と思われる人の“一味違う配慮”写真はイメージです Photo:PIXTA

一度仕事をしただけで信頼される人は何が違うのか。元JALのCAで、人材育成のプロは「彼らに共通するのは、ビジネスマナー以上に大切にしているものがあること」だという。それは一体何だろうか。(人材育成コンサルタント 七條千恵美)

その名刺交換、本当に相手が望むタイミング?

 ビジネスシーンでは、初対面の方と顔を合わせたら、まず名刺交換…となります。しかし、人数が多く、それだけで時間がかかってしまった…という経験はないでしょうか。

 私が講演や研修を行うとき、ありがたいことに個室の控室が用意されていることがあります。そこで待機していると、主催者側の担当者や社長、役員の皆様が名刺交換に来てくださることも多いです。しかし、時には講演開始時間が迫っても名刺交換の列が途切れず、慌ててしまったこともありました。

 ある講演会場でのことです。一通りのあいさつが終わった後も、控室には数人の方が残っていました。すると、主催者側の男性が「さて、七條先生も講演前だからゆっくり過ごしたいですよね。やりたいこともおありでしょうし!」とおっしゃったのです。

 それは私に向けて言っているようで、実は周囲の方に向けて言ってくださっていると分かりました。声の大きさやタイミングが絶妙だったからです。その配慮のおかげで、講演前に静かな時間を持ち、満を持して登壇することができました。

 きっとこの男性は私が遠方から来て疲れているのではないか、講演前は準備をしたいのではないか、講師側から主催者に対してそのようなことは言いづらいのではないか、と私の立場に立って代弁してくださったのでしょう。

 ビジネスの場でのごあいさつや名刺交換は、双方が気持ちよく過ごすために欠かせない大切なものです。しかし、今がそのタイミングとして適切なのかを考えずに流れ作業的に行っていることはないでしょうか。