部下を指導する上司写真はイメージです Photo:PIXTA

何を頼んでも二言目には「ムリです」「難しいと思います」と言う消極的な部下。ついつい、「つべこべ言わずにやれ!」と言いたくなるが、ここはぐっと我慢しよう。むしろ穏やかに「質問」することが、部下の行動につながるのだ。その際に用いるべき「パワークエスチョン」とは?(らしさラボ代表取締役 研修トレーナー 伊庭正康)

※本記事は、伊庭正康著『できるリーダーは、「これ」しかやらない[聞き方・話し方編]』の内容を一部抜粋・編集したものです。

「できない」と言われた時こそ、チャンス到来!

 なんでもやる前から、「ムリだと思います」と拒絶する部下もいると思います。「仕事なんだから、言い訳するなよ……」と思う瞬間でしょう。しかし、これはむしろ、チャンス。「ムリです」と返事したその時こそ、彼らの「マインドセット(考え方)」を変える絶好の機会だからです。

 まず、マインドセットとは何かという話をさせてください。マインドセットとは「物事の見方」のこと。これには、二つの種類があります。「フィックストマインドセット」と、「グロースマインドセット」です。

 まず、フィックストマインドセットから説明しましょう。これは、「能力(人)は変わらない」という、固定的な考え方。何事に対してもすぐに「それは難しい」と言いがちな部下は、このフィックストマインドセットだと考えるとわかりやすいです。

 一方で、グロースマインドセットとは、別名「しなやかマインドセット」とも呼ばれ、「能力(人)は変わる」という考え方。目的に合わせ、しなやかに自分の考え方やスキルを変えれば多少の問題なら解決できる、と考える人は、グロースマインドセットの人というわけです。

 さて、あなたはどちらですか?自分はグロースマインドセットかな……と思ったとしたら、むしろ注意が必要です。