与党「国民の力」の役員改選で
尹錫悦大統領の「直轄体制」に
8日、与党「国民の力」の役員改選が行われ、親尹錫悦系が支持する、金起ヒョン(キム・ギヒョン)氏が選出された。また、指導部である最高委員、青年最高委員にも全て親尹錫悦系が当選した。
前代表の李俊錫(イ・ジュンソク)氏がセクハラ問題で党員権利停止となり、事実上代表職を失ってから8カ月で、尹錫悦氏を支持する指導部に置き換えられた。
代表選挙は、金起ヒョン氏の優勢が伝えられていたが、4人の候補者が乱立、一回目の投票で過半数を獲得し選出されるかに注目が集まっていた。金起ヒョン氏は1回目の投票で52.93%の得票を得て当選した。それだけ尹錫悦大統領を支持する結束が固かったということであろう。前回の大統領選挙にも出馬した安哲秀(アン・チョルス)氏が2位で23.3%、李俊錫氏が推す千ハラム(チョン・ハラム)候補は14.98%で3位に終わった。
今回の選挙で、李俊錫系は全員落選、次期大統領を狙った安哲秀氏も1回目の投票で落選した。これによって、尹錫悦大統領とはそりの合わなかった李俊錫氏の影響力は低下し、安哲秀氏も次期大統領候補として後退したといえよう。
国民の力の支持者たちは
尹錫悦大統領の決断を理解
日韓関係にとってさらに重要なことは、この代表選挙が元徴用工問題の解決案を正式に発表した2日後に行われた結果だということである。韓国国民の間で不満が残り得る解決案が出されても、国民の力の支持者は尹錫悦大統領を支持したということであり、徴用工問題の解決案に一定の理解を示したということであろう。
民主党や市民団体は、尹錫悦大統領に対する攻撃を強めており、7日に国会敷地内で行われた、今回の解決策に反対する緊急時局宣言では「尹錫悦大統領弾劾」を求めてピケを張る人たちもいた。
徴用工支持者たちは、週末の集会には5万から10万人の参加が見込まれると主張する。集会の主催者には「全国民主労働組合総連盟(民主労総)」や「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」など組織力のあるところが混じっており、この機会に動員をかけるだろうが、一般の参加者はさほど多くないのではないか。これを大々的に報じて市民団体を利するのではなく、淡々と扱う方がいいのではないか。
今後は尹錫悦大統領と新代表の金起ヒョン氏が一体となって諸課題に取り組むことになる。
最も重要な課題は来年4月に行われる国会議員選挙において、国民の力をまとめ、民主党優位の国会を打ち破ることである。金起ヒョン氏は代表当選後の挨拶で「目標に向かって走ろう。それは一にも二にも国民の生活」だと述べた。そして「一丸となって総選挙の圧勝を成し遂げよう」と呼びかけた。
現在、検察は複数の不正疑惑で民主党代表の李在明(イ・ジェミョン)氏を捜査しており、当面、与野党の対立が続く見込みである。ただ、徴用工問題の解決に向けては、民主党の協力なしには、新たな立法は困難である。こうした時に国民の力が分裂ではなく結束したことは、尹錫悦大統領にとって幸いである。