「英語を話せるようになりたい」という人にぜひ読んでほしい1冊が『5分間英単語』だ。1トピック5分のトレーニングで、日本人の英語学習に不足しているボキャブラリーを拡大し、スピーキングやリスニングなど実践的な英語力アップに役立つ1冊だ。著者は、英字新聞The Japan Times Alpha編集長を10年以上務める高橋敏之氏。一般的な英単語集には記載されていない「ニュアンス」や「実際の使われ方」を丁寧に解説した。本稿では『5分間英単語』から特別に一部を抜粋して紹介する。
pay:「お金を払う」以外にも幅広いニュアンスを含む動詞
payは文字通りには「支払う」だが、それ以外にも様々な意味がある。
(1)「(注意)を払う」
(2)「(敬意)を払う」
(3)「〜を訪問する」
(4)「(主語が)割に合う、報われる」
(5)「(主語が)報いを受ける」
日本語でも「注意を払う」と言うように、英語もpay attentionで「注意を払う、注意して聞く」という意味を表す。特に「何に注意を払うのか」を明確にする場合はpay attention to 〜の形を用いる。
また、「敬意を払う」という場合にも、payは使われる。この意味では特にpay one’s respects to 〜という形で用いることが多い。ただし、これは単に「〜に敬意を払う」だけでなく、文脈によっては「(葬儀などで)〜の弔問に訪れる」という意味を表すこともあるので注意が必要だ。その場合は、pay one’s final/last respects to 〜のように、final/lastという形容詞を付けることがある。また、pay a compliment to 〜 / pay 〜 a compliment(〜にお世辞を言う)というパターンも覚えておこう。
それから、pay 〜 a visit/callの形で「〜を訪問する」という意味を表す。単に動詞のvisitを使うよりも、「短い時間で訪問する」というニュアンスを表すことが多い。
他にも「しっかりとした支払いが得られる」⇒「割に合う」という発想から、payには「(主語が)割に合う、報われる、最終的に良い結果を出す」という用法がある。この意味ではpay offという形を用いることも多い。
最後に、payは「(主語が悪行の)報いを受ける」の意味でも使われる。「悪行の代金を支払う=その報いを受ける」という発想だ。
(1)「(注意)を払う」
You weren’t paying attention to what I was saying, were you?
「君は僕の話に注意を払っていなかっただろう?」
Pay close attention to your teacher.
「先生の話をよく聞きなさい」
◆ pay close attentionとすることで、さらに細かく注意を払っているニュアンスを出すことができる
(2)「(敬意)を払う」
A lot of people paid their last respects to Mr. Jackson.
「たくさんの人々が、ジャクソン氏に最後のお別れをした」
I was trying to pay her a compliment, but she took it as an insult.
「彼女にお世辞を言おうとしたが、それを侮辱と受け取られた」
◆ give 〜 a complimentと表現することもできる
(3)「〜を訪問する」
Jimmy paid me a visit while I was in Tokyo.
「私が東京にいた時、ジミーは私を訪ねてきてくれた」
(4)「(主語が)割に合う、報われる」
Honesty always pays in the end.
「正直にしていれば最後には必ず報われるものだ」
Crime doesn’t pay.
「犯罪は割に合わない」
All my hard work paid off when I finally passed the bar exam.
「ついに司法試験に受かった時、私の努力は報われた」
The partnership will eventually pay off for both sides.
「この提携は最終的に双方にとってプラスとなるでしょう」
(5)「(主語が)報いを受ける」
You will pay for it.
「お前はその報いを受けることになるぞ」
◆ 直訳は「それに対して代金を支払うことになるぞ」
Whoever did this must pay.
「これをしたのが誰であれ、その報いを受けなくてはならない」
□ crime(名)犯罪
□ bar(名)法廷、裁判 ※bar examで「司法試験」
(本稿は『5分間英単語』から抜粋・編集したものです。)