バイオテクノロジー業界は目下、売り手市場だ。複数の製薬大手が、数の減りつつある有望なバイオテック企業を探し求めており、買収価格に多くの楽観的見通しが盛り込まれるのは避けがたくなっている。米製薬大手ファイザーは13日、米バイオテック企業シージェンを430億ドル(約5兆7200億円)で買収することで合意した。これはメルクなどの競合相手が昨年支払うのをためらった高すぎる評価を、急成長中のがん治療薬メーカーに与えるものだ。だがファイザーが直面する売上高の急激な「崖」を考えると、アルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)の積極的な賭けを決して責めることはできない。今回ファイザーが与えた評価は、ビジブル・アルファがまとめた2030年売上高予想に対して約5.5倍と、昨年12月にアムジェンが希少疾患用バイオ医薬品メーカーのホライゾン・セラピューティクスを280億ドルで買収した際の約4.5倍を上回っている(アムジェンの買収自体が投資家から割高と見られていた)。ファイザーの株価は13日午後の取引で約2%高(終値は1%高)。シリコンバレー銀行(SVB)の破綻を受け、金融セクターへの懸念が広がる中、投資家はヘルスケア銘柄に軸足を移している。ファイザー株は先月末にシージェン買収に向け協議入りしたとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じて以降、すでに約5%下げていた。
ファイザーの高額すぎる買収、誰も責められず
米シージェンを買収、有望なバイオテック資産の取得は高額になるのもやむを得ない
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