飲酒は? 喫煙は? 肥満は? ストレスは?
本当に脳に悪いこと、いいことは何だろう?

脳の若返りと認知症治療の専門医・白澤卓二医師は『長寿脳──120歳まで健康に生きる方法』で、現代人の願いである健康長寿を脳から実現するノウハウを提案する。認知症にならずに体も長持ちさせるためには、40代からの脳のケアが大切だと著者はいう。本書では世界最新の医学で明らかになった認知症予防・改善策と、その研究からわかった脳のパフォーマンスを上げるために必要な生活習慣とは?

健康で長生きする人のたった1つの共通点とは?Photo: Adobe Stock

疲れない生き方をする人は長生き

 あなたの周りに「疲れ知らずな人」はいませんか? やることはしっかりこなしているのに、いつも元気で疲れている様子がない。不思議ですよね。

 私が思うに、疲れ知らずの人たちというのは、疲れないやり方を知っている人たちなのじゃないでしょうか。

 それぞれのやり方で、働き方や生活の仕方をコントロールして、疲労を感じるほど働かない、がんばらない。合理的に進めてできるだけ無駄に働かないように省エネに徹するやり方もあるだろうし、なんとしても睡眠時間を守るようにタイムマネジメントするとか、これ以上やったら疲れてしまうと感じた時点で休暇をとるとか、あるいは他人に丸投げして自分が疲れないようにするというのもひとつのやり方かもしれません。

 健康で長生きする人に共通するのは疲れ知らずだということです。

 生きていれば必ず身体的な疲れを感じることはありますし、思考が行き詰まってこれ以上考えられない状態に陥ることは、誰にでもあります。長生きする人は、疲れたなと感じたら、あるいは疲れる前に、ちゃんと休める人たちだと思います。

 自分は非常に疲れていると感じているのに、ノルマや締め切りに追われて必死で働き続ければ、遅かれ早かれ自分が潰れてしまうことになりかねません。疲れの原因は仕事だけではありません。親の介護や子育てにかかりっきりになれば、気力も体力も限界に近づくこともあるでしょう。疲労を感じているのに休まず(休めず)、疲労が蓄積すれば病気に発展することもあります。

自分が疲れるのはどうしてか?

 疲れ知らずの人たちは何が違うのでしょうか。

 彼らはもれなく「自分が疲れるのはどうしてか?」という原因分析をしています。そして疲れる原因を排除しようと行動を起こします。会社が変わると収入が減るかもしれないとか、独立してやっていけるのかという不安もあるとは思いますが、自分が疲れないこと、自分が疲弊しないように自分を守ることを最優先して考えるので、疲れる原因を排除するために行動を起こせるのです。

本原稿は、白澤卓二著『長寿脳──120歳まで健康に生きる方法』からの抜粋です。この本では、科学的に脳を若返らせ、寿命を延ばすことを目指す方法を紹介しています。(次回へ続く)