インフレ・円安の時代に入った今、資産を預金だけで持つことはリスクがあり、おすすめできない。「先行き不透明な時代」には、これまで投資に無縁だった人も資産を守り・育てるために資産運用を始める必要がある。『このままではあなたの現金の価値が下がる! インフレ・円安からお金を守る最強の投資』(朝倉智也著、ダイヤモンド社)が3月29日に発売された。本書は、投信業界のご意見番が新しい時代を乗り切る「究極の運用法」をアドバイスするお金の入門書だ。大切なお金を守り増やすためには、どうすればいいのか? 本連載では、特別に本書から一部を抜粋・編集してその要旨をお伝えしていく。
資産活用層の人は、「安定的に運用しながら使う」
ことを考える必要がある
もう一方の60代以上の資産活用層の方の場合は、これまで貯めてきたお金や退職金などのまとまった資金をどう活用するかが重要です。
多くの方は年金収入を得ながら、不足する分は資産を取り崩して生活していくことになると思いますが、資産を預金に置いておくだけでは実質的な価値が大きく目減りする可能性があることは、先にご説明しました。
資産を守るためには「安定的に運用しながら使う」ことを考える必要があります。
「長生きリスク」に備えるために
積極的な運用が必要
これに加えて私が提案したいのは、「安定的に運用しながら使うお金」の一部を積極的に運用していく方法です(下図)。
「人生100年時代」と言われる昨今ですが、長生きは喜ばしいことである半面、「長生きして資金が不足するリスク」にも目を向ける必要があります。
リタイア後も10年、20年と長期の運用期間をとることは十分に可能ですから、「長生きリスク」に備えるためにもぜひ、積極的な運用を検討していただければと思います。
次回は、「安定運用」「積極運用」をするための前提となる知識を押さえていきましょう。
(※本稿は『インフレ・円安からお金を守る最強の投資』の一部を抜粋・編集したものです)
SBIグローバルアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
1966年生まれ。1989年慶應義塾大学文学部卒。銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、1995年米国イリノイ大学経営学修士号(MBA)取得。同年、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立、および上場準備を担当。1998年モーニングスター株式会社(現 SBIグローバルアセットマネジメント株式会社)設立に参画し、以来、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。SBIホールディングス株式会社 取締役副社長を兼務し、SBIグループ全体の資産運用事業を管掌する。主な著書に『全面改訂 投資信託選びでいちばん知りたいこと』『改訂新版 ETFはこの7本を買いなさい』『一生モノのファイナンス入門』(以上、ダイヤモンド社)、『「iDeCo」で自分年金をつくる』(祥伝社新書)、『お金の未来年表』(SB新書)などがある。