FPは「中立」ではなく
「顧客の利益」を優先するもの
昨年末に岸田政権の「資産所得倍増プラン」の中身が明らかになった。その具体的な中身については本コラムでも取り上げたことがあるが、例えば来年から始まる新しいNISAはかなり大幅に制度が拡大されたことで、非常に使いやすく、かつ資産形成の手段としてかなり充実した内容になったと言って良いだろう。
そんな資産所得倍増プランにおいては7本柱と表現されている主な政策が明らかになっていて、新しいNISAももちろんその中のひとつだし、iDeCoの制度拡充も入っている。
実は今、こうした資産形成の制度とは少し異なる視点の政策が打ち出されている。それはこの7本柱の中に第3の柱として「消費者に対して中立的で信頼できるアドバイスの提供を促すための仕組みの創設」、そして第5の柱として「安定的な資産形成の重要性を浸透させていくための金融経済教育の充実」という項目があり、いずれも中立的なアドバイザーの役割が重要だとされている。
このような文脈で「中立的なアドバイザー」の例として挙げられがちなのが「ファイナンシャルプランナー(以下FPと称す)」だ。
しかしながら、筆者は以前から「FPが中立的なアドバイスをする」という表現はおかしいと主張してきた。なぜなら、顧客からアドバイスのフィーを頂いて業務を運営するのであれば、中立ではなく顧客の利益を最優先しなければならないはずだからだ。
例えば弁護士という職業は依頼人の利益を最大化することが職業上の倫理であり、原告と被告の双方から中立的な立場なのは裁判官のはずだ。にもかかわらずFPが中立的なアドバイスをするということをうたうのは理由がある。