黒田前総裁の自己評価
10年間の金融緩和は成功
4月8日に10年間の任期を終えた黒田東彦・前日本銀行総裁は、3月10日の最後の定例記者会見で、10年間の金融政策について自己評価をした。
記者会見全体の発言をまとめてみると、大規模な金融緩和が経済・物価の押上げ効果をしっかりと発揮し、経済は大きく発展し、物価が持続的に下落するという意味でのデフレではなくなった。
さらに、デフレを解消して経済が活性化したもとで、雇用が増加し、賃金のベアも復活し雇用者報酬が増加した。設備投資がかなり増進し、技術進歩にプラスになった面もあったなどと述べ、プラス効果を挙げて金融緩和は成功であったと総括している。
一方、金融緩和の副作用については、総括的検証や点検を踏まえて対処しており、副作用の面よりも金融緩和の経済に対するプラス効果がはるかに大きかったと述べている。
経済にとって悪いことの原因はデフレであり、経済にとって良い動きをもたらしたのは金融緩和という大胆な単純化が適切とは思えないことはさておき、そもそも量的・質的金融緩和は、経済や物価に何らかの効果を持ちえたのか。