9日から日銀植田新体制
「学者総裁」誕生の陰で課題残る
日本銀行の総裁・副総裁人事で岸田文雄首相は、4月8日に任期が終わる黒田東彦総裁の後継に植田和男・東大名誉教授を選び、金融政策のかじ取りを任せた。
初めての学者総裁誕生は、本命候補とされた日銀出身者の登用が見送られた事情もあるが、結果的に、予想されていた女性の副総裁登用は見送られた。
またその一方で、安倍晋三政権以降の、時の首相やその側近が総裁選びを主導する総裁の「政治任命」が事実上、踏襲された。
官邸主導の総裁人事には、中央銀行の独立性への影響を懸念する声もあり、黒田日銀では、2%物価目標導入とあわせ、金融政策が政治の圧力にさらされ自由度を失っていた面も否めない。
今回の人事を振り返れば、5年後の「次の総裁選び」に宿題がいくつか残っていることがわかる。