写真:ビュッフェ写真はイメージです Photo:PIXTA

ビジネスの交流会、懇親会などで立食パーティーに出席する機会もあるだろう。そうした定型のない自由な場は、各々の品格がもっとも表れやすい場といえる。へたをすると無粋なところが次々と露呈し、まわりの人に良識や人格まで疑われることにもなりかねない。

※本稿は小倉朋子『教養としてのテーブルマナー』(SBクリエイティブ)の一部を抜粋・編集したものです。

「部長ありがとう!」の歓声は…
「みんな」のために大間違いをおかした男性

 ある企業が開催した異業種交流パーティーに参加したときのことです。ビュッフェのオードブルの1つに、伊勢海老のテルミドールがありました。半身に割られた殻の中に、一口サイズにカットされた身がピックに刺さって並んでいます。

 こういう場合、身だけを一切れから数切れ取るものなのですが、私の前にいた男性は、殻ごとトングでつかんで、半身を丸々すべて取っていきました。数名の女性同行者がいるらしく、「部長ありがとう!」などと歓声が上がっています。

 男性としては、おそらく一緒に来ている「みんな」のために取った行動。でも、いかに配慮にも品性にも欠ける行為かおわかりでしょう。こうした身勝手な専有行為が繰り返されると、会場にいる「みんな」の分がなくなってしまいます。

 ちなみに、その直後、同じ男性が同じ素振りを見せたので、コソッと「みんなの分を残してくださいね」とその男性だけに聞こえるよう(恥をかかせないよう)ささやくと、なんと! 聞こえないふりをされました。