パパ「そういうこと。会社でも、収入の多い人は、難しい問題を解決したり、新しい価値を創造したりする力が普通の人より秀でているということだ。顧客が喜んでくれて、感謝の対価としての報酬をたくさんもらえる。だから、父さんは堂々とお金儲けをすればいいと思っている」
慶太「ということは、儲かっていない人は役に立っていないということで、そんな自分を認めたくないから金持ちには嫌味で横柄であってほしいと考える人が少なくないってことだね」
パパ「もちろん、どんな人でも失敗して仕事を失うこともあるし、病気なんかで満足に働けない人もいるから、儲かっていないことが悪いことではないけどね。収入が低くても社会には不可欠な仕事はあるし、低収入でものんびり生きられればいいという人もいる。『清貧が正しい』とか『金持ちは傲慢だ』という決めつけは現実逃避の欺瞞だということだよ」
慶太「大人の世界って大変だね」
パパ「そうやってごまかしごまかし生きないと自尊心を保てない人が多いってことだね。でも、現実から目を背けず現実を直視し、真正面から対処するほうが、爽やかに生きられるよ」
“お金”と“時間”の価値は
常に一定ではない
ママ「こないだ隣町のスーパーで玉子の特売をやってて、電車で買いに行ったのよ」
パパ「わざわざ?それ、時間のほうがもったいなくない?」
ママ「たしかに、往復で40分ぐらいかかったわ……」
パパ「お金が減るのは目に見えるけど、時間が減るのは目に見えないから、どうしてもわかりやすいお金のほうを優先してしまってるんじゃないか?
お金は失ってもまた稼いで取り返すことができるけど、時間は失うと2度と戻らないことに敏感にならなきゃ」
ママ「敏感になるって、どういうこと?」
パパ「コストパフォーマンス(最小のコストで最大のメリット)とタイムパフォーマンス(最小の時間で最大のメリット)を都度比較して判断することだ。つまり『この場面では自分の時間を投入してお金を節約すべき』『この場面ではお金を投入して時間を節約すべき』というように、時と場合に応じて合理的にその峻別をしようとする意識を持つんだよ」
ママ「もっと具体的に説明してよ」
パパ「たとえば、出張時など移動時間に落ち着いて仕事に集中したい場合、追加料金を払ってでもグリーン席や指定席、飛行機ならビジネスクラスを利用したほうが効率的だ。この場合、お金で『快適な時間と空間を買う』ことで生産性が上がるわけで、タイムパフォーマンスを高めることができる。