かつてテレビにはめぼしいものが何もないと思われていた。動画ストリーミングサービスはその問題の一部を解決したに過ぎない。視聴者が有り余るほどのコンテンツを見られるようになったのは確かだ。動画配信プラットフォームのデータを集計するリールグッドによると、定額制動画配信サービス大手9社が提供する計3万6674本のテレビ番組や映画の中から、昼夜を問わずいつでも作品を選ぶことができる。だが、量は質を意味するわけではない。これらの番組や映画のうち、映像作品の情報サイト「IMDb」の視聴者評価スコアに基づき、質が高い、あるいは非常に質が高い作品とみなされるものは46%にとどまる。このことは動画配信プラットフォーム運営事業者にとってちょっと厄介な問題となる。クリックひとつでサービスへの加入も解約もできる市場で、契約者を引き留め、なおかつ新規契約者を獲得するには、思わず引き込まれる魅力的な新コンテンツが不可欠となる。