シン富裕層の投資・節税・相続#5Illustration by Yuuki Nara

日本では近年、従来の富裕層の価値観や志向、ビジネスモデルとは一線を画する富裕層が日本で増えてきている。そこで特集『シン富裕層の投資・節税・相続』(全24回)の#5では、そんな「シン富裕層」の生態を大解剖。日本の富裕層の知られざる変貌ぶりをお届けする。(ダイヤモンド編集部副編集長 鈴木崇久)

「週刊ダイヤモンド」2023年4月29日・5月6日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

富裕層にのし上がるインフルエンサーや
YouTuberら「新勢力」

「3億円の申告漏れ、8500万円の追徴課税」「確定申告せず700万円の追徴課税」──。3月に相次いで二つのニュースが報じられた。

 税務調査で税金の申告漏れを指摘された。取り立てて珍しい話ではなく、追徴課税などの金額が特別大きいわけでもない。それなのに全国紙やテレビ局がニュースとして報じたのは、指摘を受けた人物たちが目新しいからだ。

 6年間に計3億円の申告漏れを指摘され、8500万円を追徴課税されたのは、SNSで強い影響力を持つ「インフルエンサー」の女性9人だった。企業の広告案件をSNSに投稿し、多額の報酬を得ていたという。一方、700万円を追徴課税されたのは、動画を投稿して収入を得ていた会社員の男性だった。「副業YouTuber」として約3600万円の報酬を得ていたと「朝日新聞」が報じている。

 一昔前には職業として存在すらしていなかった仕事で、大きな収入を得る富裕層が生まれてきている。そして実は、富裕層の世界ではこれだけにとどまらない大きな変動が起きている。

 従来とは一線を画する富裕層が日本で増えてきている──。そんな人を「シン富裕層」と呼び、著書『日本のシン富裕層』にまとめたのが、富裕層の海外移住のサポートなどを手掛けるアエルワールドの大森健史代表取締役だ。

 そこでここでは、『日本のシン富裕層』と大森氏をはじめとした取材を基に、シン富裕層の“生態”をご紹介しよう。なお、『日本のシン富裕層』とはネーミングや分類を少し変更してお届けする。