TOEFLテストやIELTSといった試験のために英単語を学びつつ、同時に教養が身についたとしたら、タイパのよい学びだろう。とくに一般的な知識として知っておきたいのが世界史である。書籍『世界史で学ぶ教養の英単語』は、歴史上の人物、出来事、宗教など150テーマを取り上げて、わかりやすい英文と対訳で記述した。高校の世界史で学ぶ内容を英語で詳しく知ることができるうえ、英文ではTOEFLテスト、IELTSで重要語として過去20年で3回以上登場した単語を、テーマにからめて学べる。知っているようで知らない世界史を、重要英単語とともに連載5回にわたり紹介する。

【世界史で学ぶ英単語】コロンブスに先駆けること数十年、Zheng Heは300隻の巨大船団で中国からアフリカに航海した

Zheng He率いる世界最強の海軍は
彼の死後に明の海禁政策で消滅した

Zheng He was a Chinese admiral of the Ming dynasty. He was born into a Muslim family as Ma He around 1371. He served the Yongle Emperor, who conferred the family name Zheng on him. Beginning in 1405, Zheng He commanded a gigantic fleet of over 300 vessels and made mammoth voyages as far as Africa, several decades before Christopher Columbusʼs fleet of three ships reached America. With such a formidable navy, China could have become a great colonial power before the European expansion. But after Zheng He died during his 7th voyage around 1433, Ming China forbade overseas travel. Unruly traders and seamen were executed. Thus, the worldʼs greatest navy soon went into extinction. The period of Chinaʼs outward expansion was followed by the period of its isolation.

鄭和(ていわ)は明代の提督である。1371年頃にイスラム教徒の家に生まれ、馬和(ばわ)と名付けられた。永楽帝に仕え、「鄭」の姓を賜った。1405年以降、鄭和は300隻以上の巨大船団を率いて、アフリカに達する大航海を行った。クリストファー・コロンブスの3隻の船団がアメリカに達する数十年前のことである。これほどの強大な海軍を擁していた中国が、ヨーロッパ人の海外進出に先んじて、強力な植民地経営国となった可能性もあった。しかし1433年頃に鄭和が7度目の航海中に死んでからは、明は海禁政策をとった。禁を破る商人や船員は処刑された。こうして世界最強の海軍はやがて消滅した。中国の対外拡張の時代は終わり、孤立主義の時代に入った。

(TOEFLテスト、IELTS頻出の重要英単語)
confer
…(on)に与える,授与する,贈る
話し合う,協議する,相談する
gigantic
巨大な,膨大な
mammoth
巨大な
マンモス
formidable
恐るべき,強力な,手ごわい
overseas
海外の,海外への,海外からの
海外へ,海外に,海外で
unruly
言うことをきかない,規則に従わない,手に負えない
trader
貿易業者,商人
seaman
船員,海員,船乗り(seamen)
extinction
絶滅,死滅,消滅
isolation
孤立,隔離,孤独