シン富裕層の投資・節税・相続#12Photo:PIXTA

相続税の申告は専門性が高いため、相続に弱い税理士に依頼すると申告ミスが起きやすくなる。特集『シン富裕層の投資・節税・相続』(全24回)の#12では、元国税専門官の筆者が国税職員時代によく遭遇した相続税の申告ミスの典型例を紹介する。(元国税専門官 小林義崇)

「週刊ダイヤモンド」2023年4月29日・5月6日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

税務調査の標的となってしまう
相続に弱い税理士の申告書とは?

 相続税の申告書を税務署に提出すると、まずは職員による簡単なチェックが行われる。ここで軽微なミスなどがあれば、すぐさま修正申告の指導が行われ、状況によっては税務調査の対象者としてピックアップされる。筆者は国税職員だった頃、このような相続税申告書のチェックを行っていた。

 相続税申告のミスには共通点が多く、国税庁ホームページでも「誤りやすい事例集」として注意喚起を行っている。これらの事例は決して複雑なものではなく、ちょっとした勘違いや見落としによるものばかりだ。

 相続に強い税理士の場合、当然ながらこうしたチェック項目をあらかじめ確認し、申告誤りを未然に防いでいる。

 しかし相続税申告の経験があまりない税理士の場合、明らかな申告誤りを見逃して、そのまま提出してしまうケースが少なくない。その結果、相続税調査の対象となりやすく、最終的には追徴税を納める事態になってしまう。

「ダメな税理士」はどんな申告ミスをしているのか、実際の「相続税の申告書」を使って「ダメな申告書」と「正しい申告書」の具体例を紹介しよう。