最強の節税#14
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保険と並び“二大節税商品”の一つである不動産。特に海外不動産を利用した節税策は富裕層を中心に近年人気を集め、オープンハウスなどの大手不動産会社がこぞって販売するほどだった。ところが業を煮やした国税が、過去に不動産を購入した者までひとからげで節税効果を帳消しにする前代未聞の規制に2021年度から乗り出したのだ。特集『最強の節税』(全22回)の#14では、不動産を活用した節税のからくりとその盲点を解説する。(税理士 吉澤 大)

不動産を利用した節税は“幻想”だ
そのカラクリと手口を徹底解説

 節税商品の代表格である保険と不動産。しかし、ちまたで言われるその節税効果の多くは、計算のマジックによる“幻想”です。さらに、法の盲点を突いて得られた節税効果も、国税の税制改正によって封じ込められる歴史が繰り返されてきました。

 その中でも、2021年度から適用される、ある改正に業界が騒然となりました。それは、近年オープンハウスなどの不動産会社が節税商品として積極的に販売してきた「海外の中古不動産を使った節税策」の封じ込めです。東京都の麹町税務署管内だけでも、この海外中古不動産投資で延べ337人が39億8000万円超の赤字を計上して節税するなど、節税をもくろむ富裕層に広く利用されてきた手口です。それが、その節税効果を今後のみならず過去のものに遡及してまで封じ込める、かなり厳しい内容の税制改正がなされたのです。

 そもそも、不動産を利用するとどうして節税ができるのでしょうか。不動産を利用した節税商品を販売している営業マンの典型的なセールストークは、おおよそ以下のようなものです。

「収益用不動産を購入して必要経費が家賃を上回れば不動産所得が赤字になる。不動産を取得した年の赤字は給与所得と通算し、課税所得(課税対象となる所得)を小さくすることができる。そのため、給与所得からすでに源泉徴収されていた税金について、確定申告して還付金を受け取ることができる」。さらに、「特に、必要経費のうち減価償却費(建物の取得に要した価額をその使用可能期間で按分した計算上生じる経費)によって生じた赤字ならば支出がなくても税金の還付が受けられる」というものです。

 しかし、そこには数字のマジックがあります。そのカラクリと実態を次ページから詳しくひもときましょう。高額所得者にこそ効果の高いこのスキームに、異例の過去分まで規制するという怒りの鉄槌を国税が下した理由が分かります。