4月といえば人事異動の季節。昇進で初めて管理職になったり、新しい職場のマネジャーになったりした人は多いだろう。メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理など、プレーヤー時代とは異なるタスクが数々あるため「何から手をつければいいのだろう…」と戸惑っているかもしれない。
そんなときに参考になるのが、株式会社識学の代表取締役社長である安藤広大氏の著書で、シリーズ累計70万部を突破している『リーダーの仮面』だ。
本稿では、仕事で結果を出すための「必読書」と反響を呼んでいる本書より、一部を抜粋・編集し、「はじめて管理職になった人」がやりがちなNG行為をご紹介する。(構成:根本隼)
マネジャーの原点は「部下との接し方」
初めて部下やスタッフを持つような人、いわゆる「中間管理職」になるタイミングは、人生において非常に大事な時期と言えます。
なぜなら、社会人になって以降、プレーヤーとして自分のことだけで一生懸命だった時期が終わり、初めて「他人の人生」のことや「将来のキャリア」について考えるタイミングだからです。
その後も出世し続けたり、あるいは独立や起業をしたりするにしても、最初の「部下との接し方」がマネジャーのキャリアの原点になります。
その第1歩目において、リーダーとしてうまくやれるか、失敗するかで、その後の人生で「大きな差」が開いていきます。
最初のリーダーの失敗は、その後のキャリアにおいても、課長の失敗、部長の失敗、社長の失敗、フリーランスの失敗、創業者の失敗へとつながります。
ですから、本書の内容は、人の上に立つ立場の人であれば、誰しもが気づきを得られるものになっています。
「はじめて管理職になった人」がやりがちなNG行為
リーダーの失敗は、大きく分けて2つのパターンがあります。
① 細かく指導しなければと思い、「もっとこうすれば?」「じゃあこうしてみようか?」と、手取り足取り指導する人。
② 「俺の背中を見て覚えろ」と言わんばかりに自分がプレーヤーを続け、部下についてこさせようとする人。
実は、どちらも最悪なパターンです。
前者は優しくていいリーダーに見えますが、メンバーが思考停止し、成長しません。後者も、できるリーダーのように思えますが、実はリーダーとしての責任を放棄し、役割を果たしていません。
私は、3000社以上の会社を見てきましたが、プレーヤーとして優秀な人ほど、このどちらかのパターンに陥りがちです。部下やスタッフを持つと、これまでの仕事の延長ではなくなり、「まったく別次元の能力」が必要になるのです。
それが、「マネジメント能力」です。
マネジメント能力がないと「取り換えが利く存在」になる
ほとんどの仕事において、プレーヤーとしての能力は、30代をピークに、年をとるごとに落ちていきます。
自分が40、50、60代以上になっても20~30代と同じ仕事で切磋琢磨できるかどうか。
手足となるような現場の人材は、若ければ若いほうがいいのです。
リーダーとしてのスキル、つまりマネジメント能力がないと、「代替可能な存在」になる可能性も高いです。
出世しないと逆にツラくなってくる現実にも目を向けるべきです。もし、その自信がないのであれば、必ずどこかで「マネジメント能力」を身につけなくてはなりません。
(本稿は、『リーダーの仮面』より、一部を抜粋・編集したものです)