小田急電鉄が新宿駅西口地区の再開発事業に1000億円強出資する方向であることがダイヤモンド編集部の取材で分かった。総事業費約2000億円のうち5割強を小田急が、残りを共同事業者の東急不動産が出資する。小田急は3月に西新宿の大型ホテル「ハイアットリージェンシー 東京」の売却を決めている。国内最大のターミナル駅を巡る小田急の足元の大胆な投資戦略を解き明かす。(ダイヤモンド編集部 梅野 悠)
新宿・再開発で1000億円超出資へ
「ハイアット」など1300億円で売却
小田急電鉄が新宿駅西口地区の再開発事業で1000億円強を出資する方向であることがダイヤモンド編集部の取材で分かった。総事業費2000億円(東京メトロの負担額は除く)の同事業では、小田急と共同事業者の東急不動産との間で出資比率を巡って調整が続いていた。
再開発事業は、小田急と東急不、東京メトロが主体となり、昨年閉館した小田急百貨店新宿店本館の跡地を含む約1.6万平方メートルの敷地に地上48階建て、高さ約260メートルの高層ビルを建設する計画だ。商業施設やオフィスなどが入居し、2029年度の竣工を予定している。
再開発に当たっては、小田急が昨年2月に東急不の参画を発表。小田急の敷地の一部を東急不へ譲渡し、建物の共有持ち分を取得する「等価交換方式」で計画を進める。両者の出資比率が固まったことで、再開発事業はさらに前進することになる。
一方、小田急は今年3月に新宿・都庁前駅に直結するホテル「ハイアットリージェンシー 東京」などが入居する大型ツインビルの売却を決めた。ホテル棟を米投資ファンドKKRに約600億円で、オフィス棟を第一生命保険などに約700億円で、それぞれ売却する。総売却額は計約1300億円に上る。
小田急の新宿駅西口事業への投資計画とハイアットの売却は密接に関連している。なぜ小田急は新宿駅西口の再開発への投資を1000億円超としたのか。次ページでは、小田急の財務状況を基に一連の投資戦略の背景を明らかにする。