2011年8月、72年ぶりに試験上場にこぎ着けたコメ先物市場が試練を迎えている。今年2月12日、経営難で解散が決定している東京穀物商品取引所から、コメ先物取引を大阪堂島商品取引所(関西商品取引所から改称)が引き取った。業界の期待を受けて復活したはずのコメ先物市場は、今後どうなるのか。
「新たな仕入れルートと期待しているのに……」と嘆くのは、先物取引の現物受け渡しをコメの仕入れ先の多様化に使えると考えていたコメ卸会社の経営幹部だ。
72年ぶりのコメ先物市場の復活からわずか1年半、東京穀物商品取引所(東穀商)は今年3月末で解散。コメ先物取引は、2月12日に関西商品取引所から改称した大阪堂島商品取引所が国内唯一の取引所になってしまった。
商品先物市場は規制強化の影響で長年低迷し、東穀商の売買高は2011年度に10年前の約8割減にまで落ち込み、営業損益は同年度まで4期連続の赤字というありさまだった。1年半前のコメ先物は不振の打開策となるはずだった。
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上場まで波乱が続いた。東穀商がコメ先物の上場を最初に申請したのは05年。認可寸前までいったが、「JAグループの反対で土壇場で取りやめになった」(取引所関係者)という経緯がある。売買システムに多額の投資を行っていた東穀商には経営上も大打撃だった。
11年に再度の申請が通ったものの、「主食のコメがマネーゲームの対象になり、価格が乱高下することは許されない」との理由でJAは上場に猛反対。JAはコメの集荷で現在40%のシェアを持つが、先物市場に参加しないと宣言した。
上場当日は、「原子力発電所事故による放射性物質汚染で品薄になるのではないか」との不安から思惑買いが広がり、買いが集中し値が付かないなど相場は荒れた。