50歳からの投資で
老後資金は安心

 では、具体的に50代、60代の人がどのようにNISAを利用すればいいかについて考えてみよう。まずは50代である。

 それまで投資経験のない人で50歳から投資を始めたとしても、70歳ぐらいまでは投資を続けることは可能だろう。なぜなら現在でも8割以上の人は60歳以降も働いており、いくらかの収入を得ているからだ。

 仮に50歳から毎月5万円ずつ「つみたて投資枠」を使って投資したとすると、70歳までの20年間で投資額の累計は1200万円になる。これを年率4%で運用できたと仮定すると、70歳時点での金額は約1833万円だ。

 さらに、それまでに持っていた預貯金も少しずつ分けて投資をしてみるとどうなるのか。日銀金融広報中央委員会が2021年に行った調査によれば、世代別の金融資産保有額は中央値で見ると50代が800万円となっている。これは中央値なので、平均値になればもっと多くなるだろうが、ここではあえて中央値で考えてみよう。

 これらの預貯金を50歳から3年間、毎年200万円ずつ「成長投資枠」を使って投資する。この場合の投資額累計は600万円となるので、前述の「つみたて投資枠」を使って投資した1200万円と合わせると1800万円となり、非課税利用限度枠の上限となる。

 毎年200万円を投資して70歳まで置いた場合、こちらも年率4%という前提で考えると投資累計額600万円に対して、70歳時点での時価総額は約1265万円となる。前述の1833万円と合わせると約3100万円となる。

 70歳まで働き、引退する時点で金融資産が3000万円余りあるということであれば、これはかなりゆとりを持つことができるだろう。