就活本に初めて「自己分析」の考えを取り入れた『絶対内定』
その最新作となる『絶対内定2025』が刊行になる。本書は2025年卒以降の学生向けの自己分析、就活対策決定版である。
ただ内定をとるだけではなく、「本当にやりたい仕事がわかる(やりたいことに気づける)」「自分らしく働ける会社と出合える」「入社してから『こんなはずじゃなかった』と後悔しない」ための1冊であることが大きな特徴だ。
これまで10200人以上に就職指導をし、その“第一志望”内定率が93%というキャリアデザインスクール「我究館」がもつノウハウがこのシリーズには詰まっている。
今回は同書の刊行を記念して、『絶対内定2025 面接の質問』から、その内容の一部を特別に公開する。(構成/朝倉陸矢)

絶対内定Photo: Adobe Stock

準備したことをただ話す人は、落とされる

 面接の場で受けるあらゆる質問は、自分について、あるいは自分の意見とその理由を述べるものなのだ。いうまでもなく、「質問への答え」の根底にある「自分のコア(大切にしてきた価値観、これからも追い求めたいもの)」を、「揺るがぬものとして自覚している」ことが大切なのである。

 そしてすべての質問で、「どんなことをどのようにしゃべると有効か=相手が何を望んでいるか」がわかっているかどうか、つまり学生の賢さや察しのよさ、コミュニケーション能力の高さを問われているのだ。

 もちろん、想定される質問に対して、あらかじめどのように答えるかを考えておくことは必要なことだ。しかし、それには次のようなリスクがある。

面接官が見えていない

 面接において、「しゃべる内容」にばかり意識がいき、肝心な、「空気を読むこと」や「面接官の気持ちを読むこと」、また、「自然なコミュニケーション」がおろそかになる可能性がある。あらかじめしゃべる内容を準備しすぎると、「あれは言えたか、これは言えたか」と、頭の中で自問自答が始まり、面接官と心を通わすことがおろそかになってしまうものだ。

ずれた受け答えをしている

 一つ一つの質問に対し、「その質問にはこの答え」、とパターン化してしまうと、面接の流れの中で、時にずれた回答をする可能性がある。
 例えば、アルバイトの話で熱く語ろうと思っていたが、面接官が興味を示した勉強の話でかなり熱く語っていたとしよう。その場合、アルバイトの話は、面接官が興味を示さない限りは、自分から詳しく熱く話すべきではないかもしれない。そのあたりは、その場の空気次第なのだ。あらかじめ用意しておいたとおりにしようとしては、間抜けになってしまうのだ。

面接官を退屈させてしまう

 あらかじめ用意してきたことを答えていると思うと、面接官は楽しくない。好印象を持たれなくなり評価が下がる可能性がある。そうすると、例えば「最近イライラしたことはどんなことがありますか?」などといった用意ができない質問が飛んでくる。

通過する人がやっていること

 想定問題に対して、しゃべる内容を考えておくからには、相応の練習、すなわち模擬面接が絶対に必要なのである。

 面接官と心を通わせながら、言いたいことを簡潔に伝えるスキル。面接が始まってからの流れをくみ、流れの中で、ふさわしいことを答えるスキル。これらのスキルが十分でないまま、何をどう答えるかばかりに熱中すると、まともなコミュニケーションにはならない。面接官と心を通わせることなく、間抜けな一問一答をしてしまうことになるだろう。気をつけてほしい。

 面接は、面接官と心を通わせながらも、自分の意見を堂々と語る強さが絶対に必要なのだ。

(本稿は、『絶対内定2025 面接の質問』『絶対内定2025』からの抜粋記事です)

杉村太郎(すぎむら・たろう)
(株)ジャパンビジネスラボ創業者、我究館、プレゼンス創業者・元会長
1963年東京都生まれ。慶應義塾大学理工学部管理工学科卒。米国ハーバード大学ケネディ行政大学院修了(MPA)。87年、住友商事入社。損害保険会社に転職し、経営戦略と人材育成・採用を担当。90年、シャインズを結成し、『私の彼はサラリーマン』でCDデビュー。92年、(株)ジャパンビジネスラボ及び「我究館」を設立。就職活動に初めて“キャリアデザイン”の概念を導入し、独自の人材育成「我究(がきゅう)」を展開。94年『絶対内定95』を上梓。97年、我究館社会人校を開校。2001年、TOEIC®/TOEFL®/英会話/中国語コーチングスクール「プレゼンス」を設立。08年にハーバード大学ウェザーヘッド国際問題研究所客員研究員に就任、日米の雇用・教育問題と政策について研究。11年8月急逝。著書は「絶対内定」シリーズ、『新TOEIC®テスト900点 新TOEFL®テスト100点への王道』(共にダイヤモンド社)、『ハーバード・ケネディスクールでは、何をどう教えているか』(共著、英治出版)、『アツイコトバ』(一部電子書籍はダイヤモンド社より発行)等。
藤本健司(ふじもと・けんじ)
我究館館長
千葉大学教育学部卒業後、(株)毎日コムネット入社。営業に配属され、2年目に優秀社員賞、3年目に社長賞を受賞。2012年「世界の教育問題に対峙したい」との思いから、青年海外協力隊としてケニア共和国で活動。3年間、JICAや現地の省庁と連携し、児童福祉施設における情操教育やカウンセリングに携わり、「人は志や気づきによって大きな成長を遂げられる」ことを実感する。2016年より(株)ジャパンビジネスラボに参画。我究館学生校の主担当コーチとして大学生をサポート。2017年10月より副館長を務め、2021年5月より現職。外資系投資銀行、コンサルティングファーム、総合商社、広告代理店など、難関企業に多数の内定実績がある。著書に「絶対内定」シリーズがある。