商談や会議の場では、内容を伝え理解してもらうのではなく、自分の希望通りに動いてもらうことがゴールだ。必要なのは、ただ「伝える」のではなく相手を「巻き込む」こと。一流の起業家が駆使する「巻込み力」は「ストーリー」「資料」「体当たり」から成る。さらに言えば、「ストーリー」だけでほとんどの場合は成功するという。人を巻き込むストーリーの3つのパターンとは?
人を巻き込むストーリー
3つのパターン
番組制作を通して、そしてPR戦略コンサルタントとして、500人以上のベンチャー起業家を取材するうちに、人を巻き込むストーリーには3つのパターンがあるということに気がつきました。いずれのパターンも、周囲の人たちが関心を持つ「夢」が必ず設定されています。
1. 社会変革型ストーリー
ソフトバンク孫社長や旭酒造の桜井社長など、ベンチャー起業家のストーリーの多くが、このパターンに当てはまります。
「業界を変える」「地域を変える」などといった、自分の「外の世界」を変えることを、「夢」として前面に打ち出すストーリーです。経営者、事業責任者、あるいは新規事業の担当者にとっては、かなり使いやすい「型」です。
例えば、地元に根差して事業を展開している会社の事業担当者であれば、このように書くことができます。
○原点
大学進学で東京に出るまで、自分が生まれ育った町。東京のような華やかさも便利さもないが、この町には楽しかった思い出が詰まっている。
○取り組んできたこと
大学卒業後は、地元の企業に就職。地元の特産品をネット販売する事業を新たに任せてもらうことに。
○夢
自分が生まれ育った町が年々過疎化し、商店街にはシャッターを閉じている店が目立つようになった。地元の特産品を全国で売れるようにして、かつてのような活気を取り戻したい。
2. 社内変革型ストーリー
この型では、ストーリーの夢を「会社などの組織を変える」と設定します。社外向けというよりも、社内など組織の内部で力を持つストーリーのパターンです。前述の社会変革型ストーリーとは対照的に、「内の世界」を変えるという「夢」を打ち出します。
なお、先ほど夢は部外者に届くべきだとお伝えしましたが、部外者は社外の人間でなく社内の場合もあります。この場合の部外者は、自分の所属する部署以外であったり、自分以外の全員だったりします。
人事部門、中間管理職、経営企画部門で社内のメンバーを巻き込む、あるいは副業などで新しい働き方を模索している場合に有効です。