ボトムアップの「巻き込み型リーダーシップ」の必要性が高まっている。しかし、巻き込み型リーダーシップ手法を実施しているつもりでも、効果が一向に高まらないことがある。そのようなケースでは、リーダーの心持ちが、トップダウンを志向したままになっていることが多い。どうすれば、その状況を改善できるのだろうか。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)
トップダウンからボトムアップへ
リーダーシップの効果が出ないワケ
トップダウンの指示・命令によるマネジメントではなく、ボトムアップの巻き込み型のリーダーシップの必要性が叫ばれ続けている。かつては、一律の指示・命令をしていればメンバーは動いたが、今日ではメンバーも働き方も多様化し、個別にコミュニケーションの仕方を工夫することが不可欠となった。
従来は、リーダーだけが情報を有していることを源泉にしてマネジメントパワーを発揮できたが、今日ではむしろメンバーが情報を持っていることも多い。メンバーの情報を吸い上げることは、意思決定に不可欠といえる。
また、環境変化のスピードが加速し、一度立てた計画の修正・変更が求められることも少なくない。リーダーがメンバーの取り組み内容や進捗をきちんと把握しておくことが、これまでに以上に重要になってきている。
こうした状況の中、ボトムアップの「巻き込み型リーダーシップ」の実施が求められる局面が、急激に増えた。
巻き込み型のリーダーシップの手法にはさまざまあるが、例えば、1on1面談で行うことで指示・命令ではなく、質問により状況を把握した上で改善策をメンバーに立ててもらって個別に助言することも効果のある方法だ(詳細は『「1on1ミーティング」を形骸化させる上司のNG言動とは?』参照)。
ところが、こうした巻き込み型リーダーシップ手法を発揮しても、効果が出ないことがある。なぜか。
その大きな原因は、肝心のリーダーの“心持ち”がトップダウンを志向したままになっていることだ。リーダーの心持ちと、繰り出す手法が正反対の状況では、ボトムアップの巻き込み型リーダーシップ手法の効果が上がらないのは当然だ。
そうしたときには、次ページで紹介する「10の項目」をチェックしてみてほしい。自分に「巻き込み型リーダーシップ」を発揮する適性があるのかどうかが、分かるはずだ。そして、どのような点を改善すべきかが見えてくる。