初対面の相手に信用してもらうのは、とても大事ですが意外と難しいことです。実は、初対面の相手の信頼を得やすい人は、会話の中に、ある三つの要素を盛り込んでいるのです。三つの要素とは何か? 書籍『頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術』の著者が、初対面の相手の信頼を得るための具体的かつ簡単なテクニックを紹介します。(教育コンテンツプロデューサー/株式会社士教育代表取締役 犬塚壮志)
仕事において最も重要なものは「信用」だが、
初対面で信用を得るのは難しい
“ビジネスで最も重要なもの。それは信用である”
これは、格言のように使われる言い回しです。確かに、相手から信用されれば、交渉も商談も日頃のささいなやりとりも、すべてがスムーズに運ぶものです。
しかし、実際のビジネスシーンにおいて、初対面の人や付き合いが浅い人から、短期間で信用を得るのは簡単なことではありません。また、互いのことをある程度、知るような間柄であったとしても、それぞれの意見や立場が異なっていたり、利害が対立したりする場合には、信用を得るのは難しくなります。
私は元々、駿台予備学校で講師として登壇していました。予備校講師にとって、初対面(初回講義)で生徒から信用されることは非常に重要です。ここで生徒との関係性の9割が決まると言っても、過言ではありません。
初対面で「この講師は高い能力がある」「この先の講義も期待できそう!」という感触を残せなければ、その後に信用を得るのには時間がかかってしまいます。そして、受験に向かって誰もが急いでいる予備校において、時間の猶予はありません。講師と講義に未来への期待を抱かなかった生徒は、他の講師の講義へと流れていく可能性が高いのです。
そのため私も、生徒との初顔合わせでは、講義の内容だけでなく、“講師として、いかに生徒から信用を勝ち得るか?”を非常に重視していました。その環境で自分がある程度、鍛えられたと感じていた私は、あるタイミングで「信用をなかなか得られない」という壁にぶつかりました。