対立するビジネスマン写真はイメージです Photo:PIXTA

相手と利害関係が対立してしまい、まったく意見が合わずに困ったとき、あなたはどのように対応していますか? 相手の意見を聞いて自分が我慢しても、自分の意見を押し通しても、結局お互いすっきりしない上に、さらなる火種になってしまうことも……そんな時、交渉術のプロが使う手があります。書籍『頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術』の著者が、仕事でもプライベートでも使える交渉テクニックを紹介します。(教育コンテンツプロデューサー/株式会社士教育代表取締役 犬塚壮志)

仕事でも家庭でも、意見が対立したときにどう対応していますか

 日々の仕事や生活の中で、意見が対立することは避けられないものです。

「制作部の意見は分かりましたが、これ以上の予算は確保が難しいです。今回はクオリティよりもコストダウンを考えていただけますか?」
「これは、上の判断ですので、報酬増はできかねます」
「俺だって十分家事を手伝っているだろ!?」

 より良い成果物にするために予算増を求める制作部vs遅れのない進行と予算減を希望する管理部で、意見が対立。燃料費の高騰で報酬増を望む業者vsコスト増分は業者にのんでもらいたい発注者とで対立。そして、“手伝っている”という意識そのものに冷めた怒りを抱く妻vs「仕事を頑張っているのに」という承認欲求が満たされずにイラつく夫で、家庭内不和が勃発寸前……。似たような経験があるなあ、と思う方も多いのではないでしょうか。

 職場でも家庭でも、利害がぶつかり合うコミュニケーションの現場では、こうした意見対立が原因でトラブルになることは珍しくありません。あなたは、相手と意見がぶつかって平行線になってしまったとき、どうしていますか? そして、どうすればこの状況を脱却できると思いますか?

 こうしたとき、一般的には次の二つのどちらかの対応で、その場を済ませることが多いようです。

(1)仕方なく相手の意見をのむ
(2)自分の意見を無理やり押し通す

 一応、その場は収まりますが、いずれにしても、双方ともに気持ちがすっきりしなかったり、さらなる対立の火種を残すことになったり、解決とは言い難い状態が残ります。この 二つ以外の対応策はないのでしょうか? そんなことはありません。交渉学はより良い解決策を教えてくれます。