キャバ嬢との面談で必ず伝えること

 ただ、店長の私が面談を行う場合は、可能な限りアドバイスします。それでも「『絶対に』こうしたほうがいい」という言い方はしません。あくまでも私のアイデアは無数にある営業手法のうちの一つであるというスタンスです。そして最後に必ず「何か俺にできることがあったら言ってね!」と伝えます。

 アドバイスをするときはあくまでも提案ベースで行い、よく分からない場合に知ったかぶりをしてはいけません。

努力を認めてもらうと嬉しい

 キャバ嬢が出勤したとき、見た目が少しでもよいほうに変わっていたら、褒めるようにしています。「カラコン変えた? 似合うね?」「ネイル変えたんだ?、可愛いじゃん!」という具合に、ピンポイントで具体的に言及するのです。こういった些細なことには鈍感な男性が多く、ここに気づくと「ムラカミさん、分かってるじゃん!」と信頼残高(相手から自分に対する信頼度)を上げられます。自分を商品にするキャバ嬢にとって、見た目の変化は努力の証です。誰でも努力を認めてもらうと嬉しいものですよね。

 特に痩せたことに気づくと高評価です。女性は筋肉がつきにくく、ダイエットに男性よりも多くの努力を要します。女性が1~2キロ減量する感覚は、男性の3~4キロに匹敵するのではないでしょうか。相手の視点に立って、褒められたいポイントを見つける姿勢が大切です。

努力の変化は敏感に感じ取れ

 30代男性の私がキャバ嬢の細かな変化に気づくためにも、若い女性の関心事はなるべく知っておきたいと思っています。TikTokなどのSNSでトレンドをチェックすることはもちろん、キャバ嬢たちの会話で知らない単語が出てきたら、すぐに検索して調べるようにしています。

 一般企業では、見た目を褒めると嫌がられることもあるかもしれません。その場合、褒めるのは「電話応対が以前よりも丁寧になった」「メールの返信が早かった」など、ちょっとした気遣いや心配りでも構いません。褒めるポイントを探すためにも、部下の普段の仕事ぶりをよく観察するところから始めてみてはいかがでしょうか。

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相手の褒められたいポイントを具体的に褒めると信頼残高が上がる

大人数の前では褒めちぎれ

 部下を褒めるタイミングはなるべく大人数の前にいるときがいいでしょう。自己肯定感を上げる効果が何倍にも高まります。人間は周りの目が気になるものです。「成功したい」というモチベーションも、「周囲に持ち上げられたい」という欲求が大半なのではないでしょうか。特にキャバ嬢はそういう承認欲求が高い人たちが多いと感じています。

 相手の自己肯定感を上げられる人間は周りの人に好かれ、信頼されます。

 私は見た目を褒めるときや売上がよかったときの報告などは、周りに他のキャバ嬢や黒服がいるタイミングを見計らって伝えるようにしています。部下の黒服を褒める場合も同様で、誰かが延長をたくさん取ると、その日の終礼で同僚全員の前で発表します。

 褒めることでキャバ嬢の行動が変わり、売上が増えた事例は数限りなくあります。

コンプレックスが長所に変わる

 あるキャバ嬢は胸が大きいことがコンプレックスで、ボディラインがなるべく目立たないようなドレスを好んで着ていました。ある日、珍しく胸元が開いたドレスを着てきたので、「めっちゃいいじゃん!」と皆の前で褒めると、それ以降は女性らしい体型を売りにするようになり、どんどん売上が伸びていきました。

 また、あるキャバ嬢は足が太いことを悩んでいましたが、安いミニワンピースしか持っておらず、思考停止でそればかり着ていました。そこで、一度ロングドレスの試着をすすめ、似合っていることを皆の前で褒めると、その後彼女は自らロングドレスを選んで着るようになりました。より自信を持って接客ができるようになったのです。

 衣装はキャバ嬢の気持ちと印象を大きく変えます。前述の事例もあって、多くのキャバ嬢が、ドレスについて私に相談してくれるようになりました。これも人前で褒めることを実践して、獲得した信頼の一つだと思います。

褒めることで「お手本」をつくる

 周りのキャバ嬢を褒めることで、あるキャバ嬢に言いづらいことを間接的に伝えることもできます。

 例えばキャバ嬢A子に対して「もっと似合う髪型に変えてほしい」と思っても、信頼残高が低い場合はなかなか直接伝えられません。そんなとき、髪型を変えた別のキャバ嬢B子を「めちゃくちゃ似合ってる! 可愛い!」と褒めまくると、A子も髪型を見直す、ということがあります。

 褒めることで周囲の刺激になり、望ましい行動を促すことができるのです。

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大人数の前で褒めると相手の自己肯定感を上げられ、周囲にも望ましい行動を促せる