部下が「自分で考えない」のは上司のせい!やってはいけない“ダメ指示出し”とは写真はイメージです Photo:PIXTA

部下への指示が正確に伝わっていないため、仕事が混乱してしまったーーこんな苦い経験から「部下への指示は具体的かつ正確にしなければ」と意識する上司は多いもの。しかし、実はこの意識こそが部下を思考停止させ、チームの生産性を低下させるリスクになります。その理由と、私たちが実践すべき「指示出しの正解」を解説します。(アークス&コーチング代表 櫻田毅)

「伝えたつもりが伝わっていない」ため
無駄な仕事が増えてしまう

「部下への指示は、実は自分が思っているほど伝わっていない」――ある企業の管理職の間で、このような言葉が交わされていました。伝えたつもりが伝わっていなくて、その結果、部下が意図したことと違う作業をしていたとのこと。似たような経験を振り返りながら、「やっぱり、部下への指示は正確に行わなければいけないよね」と、確認し合っています。

 彼らが指摘するように、上司と部下のコミュニケーションの不完全さが、円滑な仕事の阻害要因になっていることは間違いありません。やっていた仕事が無駄になったり、やり直しを迫られたりで、生産性の低下につながるからです。

 しかしながら、時代の変化とともに、この考え方がかえってチームの生産性を低下させるリスクを高めています。

 その最大の理由は、私たちが、「正確な指示」とは、何を、いつまでに、どのようにやるのかといった、「具体的な行動」のことだと思い込んでいることです。環境が複雑で変化が激しい時代においては、この固定観念を払拭しない限り仕事の生産性は高まりません。

 では、「正確な指示」とは、一体どのようなものなのでしょうか?