開成、麻布、桜蔭、雙葉、筑駒、渋幕、武蔵、海城……東京・吉祥寺を中心に都内に展開する進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないが、「普通の子ども」を有名難関校に続々と合格させると話題の塾だ。VAMOS代表の富永雄輔氏は、最新刊『ひとりっ子の学力の伸ばし方』で、子どもの特徴を最大限に生かして学力を伸ばす「ロジカルで科学的な学習法」を提唱し、圧倒的な支持を集めている。本稿では、富永氏が登壇したオンラインセミナー(2022年10月開催)で、参加者から出た質問への回答を紹介する。
Q. 国算社理、どんな配分で勉強するのがいい?
質問者:小学5年生の保護者
――中学受験のためには、国算社理の勉強の配分をどのように考えればいいですか?
まずは、お子さんの得意と苦手を知ることから
富永雄輔(以下、富永):出口をどのように設定するか、中学受験をするならば、どのような志望校を考えるか次第だと思います。
入試科目や試験の難易度は学校によってさまざまです。
お子さんが目指す学校に受かるためには、どの科目でどのくらい点数をとる必要があるのか、そのためにはどんな勉強が必要なのか、通っている塾の先生とぜひ相談してみることをおすすめします。
その上で、1つ気をつけてほしいことは、時間をかけるほど伸びる分野がある一方で、そうでない分野もあるということです。
少し話がそれますが、私はサッカー選手の代理人の仕事もしています。
サッカーの世界でも、努力をして上手くなれるポジションと、努力ではどうにもならないポジションがあります。
「どうしてあんなすごいパスを出せたのか?」と聞かれて、「自分にはパスコースが見える」とか「選手全員の動きが見える」と答える選手がいます。
一方で、自分には走ることしかできないからと言って、ひたすら走力を伸ばして自分が活躍できるポジションを掴む選手もいます。
勉強も一緒です。全員が同じように勉強しても、同じ結果が出るわけではないので、全員に対して同じ勉強をさせるのは意味がないでしょう。
お子さんにとって、伸びやすい分野、伸びにくい分野は何かということを知ることが、大事になってくると思います。
一般論で言えば、算数は最も成績を伸ばしやすい科目
富永:一般論で言えば、かけた時間に比例して成績が伸びるのは算数です。
特に中堅校の算数は、かけた時間に比例して得点を取れるようになります。
算数の問題を解くために必要な力は、「計算力」と「パターンを覚えること」の2つです。
中堅校の算数の場合、覚えなければならないパターンがそれほど多くはないため、かけた時間に対して点数が伸びやすいんです。
一方で、社会や理科の暗記量は膨大です。国語は文章が長かったりするので、非常に集中力を要します。
難関中学の算数になると、時間をかけても解けるようになるとはかぎらないので、やはり、お子さんがどの教科、どの分野で点数をとりやすいのかということをしっかり見極める必要があります。