開成、麻布、桜蔭、雙葉、筑駒、渋幕……東京・吉祥寺を中心に都内に展開する進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないが、「普通の子ども」を有名難関校に続々と合格させると話題の塾だ。子どもの特徴を最大限に生かして学力を伸ばす「ロジカルで科学的な学習法」が、圧倒的な支持を集めている。本稿では、VAMOSの代表である富永雄輔氏の最新刊『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)から、特別に一部を抜粋して紹介する。

ひとりっ子が「他者からの攻撃」に弱い納得の理由Photo: Adobe Stock

ひとりっ子ほど「外からの刺激」に弱い1つの理由

 下のきょうだいというのは、一生懸命組み立てていたレゴをお兄ちゃんにひっくり返されたり、夢中になって読んでいた漫画をお姉ちゃんに取り上げられたりというかわいそうな目にたびたび遭います。

 それでも、お兄ちゃんやお姉ちゃんが本気で意地悪しているのではないとわかるときもあり、そういう経験を重ねているうちに、人の言うことやることを自分なりに咀嚼(そしゃく)して吸収する能力がついていきます。

 一方で、ひとりっ子は、自分がやっていたことを強制的に中断されたり、ひどい言葉を投げられたりすることに慣れていません。

 もともとこだわりが強く、自分の世界に没頭できる環境で育っただけに、外部からの刺激にはいちいちムキになってしまいます。

他人と触れ合う機会を多くつくることで、不条理への耐性がついていく

 VAMOSには、人数の多い「大クラス」があります。

 そのクラスの子どもが簡単な問題を解けなかったときに私は、「このクラスは大クラスじゃなくて大バカクラスだ」と言いました。

 もちろん冗談です。多くの子どもたちはゲラゲラ笑っているのに、本気で攻撃されたと思って顔色を変えるひとりっ子がいて、私は焦りました。

 子どもというのは、くだらない言葉や行動の応酬を重ねながら成長していきます。腹が立っても納得できなくても、友だちとギャーギャーやり合っている時間は、とても重要なのです。

 ところが、コロナ禍でそうした機会は激減しました。

 ましてや、兄や姉からいろいろ邪魔されることがないひとりっ子は、およそ不条理に対する耐性ができません。

 ちなみに、私の冗談を理解してくれなかったひとりっ子の親は、後日クレームを上げてきました。

 もちろん、軽口を叩いた自分を擁護するつもりはありません。ただ、子どもから報告を受けたときに「面白い冗談言われたね。ワハハハハ」と笑ってみせるくらいでいてほしかったというのが本音です。

 こだわりが強く、そのこだわりを追求していけるのは、ひとりっ子の素晴らしい強みです。その長所が欠点にならないよう、親がおおらかに構えていましょう。

(本稿は、『ひとりっ子の学力の伸ばし方』からの抜粋・編集したものです)