中国人の取得件数が増える「経営・管理ビザ」
中国人の間で注目されている経営・管理ビザとはどんなビザなのだろうか。
これは、外国人が日本で事業を起こし、経営や管理に従事する場合に発給される在留資格で、簡単に言えば「500万円を投資して事務所を設ければ日本で社長になれる」といわれているビザだ(*筆者注:厳密には資本金として500万円が要求されているわけではないが、この金額を用意すればビザ取得がスムーズに行くと言われている)。
経営・管理ビザの要件に該当すれば、業種に特段の制限はなく、中華料理店や中華物産店の経営者にも経営・管理ビザが付与される。しかし、長年にわたり経営・管理ビザの申請をサポートしてきた行政書士のI氏は「取得は大変難しい」と語る。
「経営・管理ビザ申請で最も多いのが貿易会社、不動産会社、中華料理店ですが、中華料理店でこれを取得するのは簡単ではありません。このビザの場合、あくまで会社経営が前提であり、社長自身は厨房での料理や接客はできないので、料理長や従業員を雇わなければなりません。経営・管理ビザそのものも、最初の申請では1年しかもらえませんが、この最初の取得が大変難しいのです」
近年、大阪や東京の街中にガチ中華の店や中華物産店といった店舗が増えている。大阪在住で通訳業に従事するAさんは、「大阪で中国人やベトナム人が経営する店舗が増えているのは、経営・管理ビザを取りたいからだ」と言う。このコメントからは、経営・管理ビザの取得は容易ではないとされながらも、根強い人気があることがうかがえる。
出入国在留管理庁(入管)によれば、2018年で2万5670人だった経営・管理の在留資格者は、2022年末時点には2割以上も増えて、実に3万1808人に上る。そのうち半数近くが中国籍の取得者だ。