入社して2カ月くらいたつと、新入社員も少し余裕が出てきます。
この時期こそ、意識的におこなうと周囲から確実に評価される2つの行動があります。
だからといって、「人と違うことをやろう」などと気負う必要はまったくありません。
ごくごく簡単なことだけれど、実は社会人の大半ができていない小さなことを実行するだけ。
新入社員にとって、非常にコスパのいいやり方です。
では何をすればいいのか? そのやり方とは?
30代で経営者歴10年以上、『20代が仕事で大切にしたいこと』著者の飯塚勇太氏に、新入社員が「今」この時期にやれば確実に評価される2つのことについて伺いました。
(編集/和田史子)

書籍『20代が仕事で大切にしたいこと』の著者が教える、新入社員が「今」やれば確実に周囲から評価される2つの行動Photo: Adobe Stock

社会人になって気づいた「ある疑問」

新入社員や若手社員が「今」この時期にやれば確実に評価される2つのこととは、次のとおりです。

①「あたりまえ」をちゃんとやる
②「あたりまえ」を継続する

1つずつ説明していきましょう。

私は、社会人になったばかりの頃に、ある素朴な疑問を抱きました。
「学校で教わったことを、やっていない社会人って多くないだろうか?」

・朝、定時より前に、余裕を持って出社する
・出社したら元気にあいさつする
・メッセンジャーやメールは見たらすぐ返す
(Slackなどのビジネスチャットツールには即反応する)
・会議には事前準備をして臨む

これらのことをちゃんとやっている社会人はどれだけいるでしょうか。
みなさんの上司や先輩、同僚で、やっている人は何人くらいいますか?

社会人として、いやそれ以前に人として、学校などで教わった「こういうことをやっておいたほうがいいよね」という「あたりまえ」をやっていない人が実に多いと感じました。特に新入社員のみなさんは、私と同じような感想を持ったことがあるのではないでしょうか。

・前の日に夜更かししすぎて朝寝坊し、遅刻ギリギリで出社する
・機嫌が悪いときや他部署の人には朝のあいさつをしない
・乗り気でない仕事に関するメールやチャットの返信は後回しにする
・会議の準備をせず、とりあえず参加するだけ

このように、世の中の多くのビジネスパーソンが、仕事に慣れてきた途端に、新入社員のときには決してしなかったような行動をとってしまうのです。

まずは「あたりまえ」をちゃんとやる

社会人になったからと気合いを入れて、「人と違うことをやろう」などと気負いすぎなくて大丈夫です。肩の力を抜いて、まずは学校に通っていたときにやっていた「あたりまえ」を、あたりまえにやってみましょう

会議の前に事前に配られた資料を読み込み、わからない社内用語があれば先輩に聞いてみる。
疑問に思うことがあれば上司に尋ねてみる。
授業の前に予習をするのと同じ、わからないことがあったら先生に質問するのと同じ、学生時代と同じようにやってみるのです。

「『足元の売上』って何ですか?」
「なぜこの数字を毎週確認するのですか?」

新入社員はたくさん質問しても怒られません。それどころか「がんばっているね」とプラス評価されます。
会議で手をあげて質問するのは勇気がいるかもしれませんが、事前に上司の席に行ったりメッセンジャーを送ったりしてちょっと質問したりするのであれば、だいぶ心理的ハードルは下がります。

もしかしたら「確かにこの数字、毎週確認する必要なかったかもしれない。次回から月に1回にしよう。質問してくれてありがとう」などと、上司から感謝されることもあります。

「わからないことを質問する」という「あたりまえ」をするだけで、社内業務の改善につながり、ほかの人たちの業務量が減って生産性が上がる。こういうことは、本当によくあることです。お得ですよね。

「あたりまえ」は一見地味なので「すごいこと」だと思えないかもしれませんが、「派手なこと」をやって一発で評価を上げようとするより、地味ながらも「あたりまえ」をちゃんとやれる人のほうが確実に評価されます。まずは学校で教わったような「あたりまえ」を思い出し、一つずつ、やれているか確認しましょう。

「あたりまえ」を習慣化する

「あたりまえ」をちゃんとやること。これが一歩目でしたが、継続してやり続けることがとても大事です。やり続けることで、いつしか「あたりまえ」が習慣化します。
継続と聞くとしんどいことのように思うかもしれませんが、実は逆です。
日々、歯磨きをしたりお風呂に入ったりするのと同じように、続けることで、さほど負荷を感じずに「あたりまえ」が自然とできるようになります。

新入社員は入社して1カ月くらいなら、全員、出社したら元気にあいさつします
しかし、大型連休が明けて、夏休みも終わり、半年、10カ月と時間がたつにつれて、あいさつをせずに下を向いたまま無言で出社する人が増えていきます。ここで最初の差がつきます。

入社2カ月、3カ月を過ぎても、出社したら元気にあいさつを続けます。

あなたは「元気にあいさつする新人」として一目置かれることになります。

さらに時間がたち、入社2年目になって、新入社員の初出社のときと同じ気持ちで元気にあいさつできる人はどのくらいいるでしょうか。おそらく1/3もいないのではないでしょうか。

1年以上、毎日元気にあいさつできている人は、おそらく自分が元気にあいさつしているという自覚さえないかもしれません。無意識のうちに声が出ているからです。

この段階であなたは、「気持ちいいあいさつのできる若手」として、職場の人たちから絶大なる信頼を得ていることでしょう。無意識にできることで高い評価や信頼を手にできるとは、これほどお得なことはありません。

つまり「あたりまえ」は、続けることでラクになるということ。
このラクになるところまで継続できずにやめてしまう人が多く、もったいないことです。
あたりまえを習慣化できると、頭ひとつ抜ける。このことを覚えておきましょう。

(飯塚勇太著『20代が仕事で大切にしたいこと』から一部を抜粋・改変しています)

飯塚勇太(いいづか・ゆうた)
株式会社サイバーエージェント専務執行役員
1990年神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。
2011年、サイバーエージェントの内定者時代に、友人らと開発・運営した写真を1日1枚投稿し共有するスマートフォンアプリ「My365」を立ち上げ、21歳で株式会社シロク設立と同時に代表取締役社長に就任(現任)。2014年、当時最年少の24歳でサイバーエージェント執行役員に就任。2018年株式会社CAM代表取締役、2020年株式会社タップル代表取締役に就任(現任)。2020年サイバーエージェント専務執行役員に就任(現任)。
『20代が仕事で大切にしたいこと』が初の著書となる。