仕事の基本として「報・連・相(報告・連絡・相談)が大事」と言われますが、いつ・どのようなタイミングでおこなうべきか、具体的に教えてもらったことのないビジネスパーソンがほとんど。
上司から「報・連・相が足りない」とか「なんでも相談するな」などと言われると、「いったいどうすればいいのか」と部下は困ってしまいます。
実は「報・連・相」のやり方は人それぞれ。ベテラン社員も「なんとなく」やってきた人が多いでしょう。
そこで、30代で経営者歴10年以上、『20代が仕事で大切にしたいこと』著者の飯塚勇太氏に、ベテラン社員も知らない、仕事の「報・連・相」の正解について伺いました。
(編集/和田史子)
「報・連・相」はとにかく「報告」が大事
「報告」「連絡」「相談」はまとめて「ホウレンソウ」と呼ばれます。
ひとまとめにされるくらいですから、仕事の中で「報告」「連絡」「相談」の重要度は同じように思いがちですが、実は違います。
「報告」「連絡」「相談」の3つの中では、「報告」の重要度が段違いに高いのです。
「報告」は、どんなに過剰にやってもやりすぎることのない、希有なコミュニケーションです。
連絡や相談を過剰にされたら、たいていの上司は嫌がります。しかし、報告を過剰にされても嫌がる上司はいません。それだけ上司は、部下からの報告を求めています。
「返信はなくてもOKです」の言葉とともに、毎日、おこなった業務の報告をメールで送ってくる部下がいたら、上司はむしろありがたがるはずです。心配性の上司であればなおさらです。
報告=上司を使った「壁打ち」
「報告」とは、上司からの返信や指示、アドバイスなどを一切求めない、「壁打ち」に近い行為です。上司の負担はほぼゼロ(メールを読むという時間を除けば)です。
極論すれば、上司が1行も読んでいなくても構わない。何か起こったときだけ、部下の報告メールを確認し、状況をすぐに把握できれば十分。それでいいのです。上司に見返りを求めないので、送る側の部下にとっても気がラクな行為です。
私も、「一応、報告です。返信はいりません」と添えて、社長の藤田(晋)に報告を入れています。
藤田ほど、いろいろな方面から日々、大量の連絡が届くような人でも、私からのこまめな報告を面倒くさがっている様子はありません。
上司が報告メールを読む、読まないは気にせず、とにかく報告は入れるに限ります。多すぎて迷惑になることはありません。
「1行の報告」を毎日する
「こまめな報告をこまめに入れたら、上司が面倒くさがるのではないか」
「ある程度、物事が進行してから、まとめて報告したほうがよいのではないか」
などと心配される人もいるでしょう。
現実はまったく逆です。
「頻度が少なく、やたら文章の長い報告」ほど、上司は面倒くさいと感じるものなのです。
2週間に一度、14行の報告よりも、1行の報告を毎日もらったほうが、上司はありがたいものです。
単なる行数の問題ではなく、「2週間前のことを思い出す」というコストを考えても、毎日1行のほうが早く読めてありがたいのです。
また、情報は「鮮度の高いもの」のほうが価値があることもあります。
特に「ライバル会社の動向」や「トラブルになりそうな案件」は、早ければ早いほど打つ手がある可能性大なので、いち早く上司の耳に入れたほうがよいでしょう。
報告内容に何か引っかかるものがあったら、上司から何かしらのアプローチがあるはずです。
フィードバックをもらうチャンスを増やすためにも、こまめに報告を入れるほうがよいと私は考えています。
(飯塚勇太著『20代が仕事で大切にしたいこと』から一部を抜粋・改変しています)
株式会社サイバーエージェント専務執行役員
1990年神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。
2011年、サイバーエージェントの内定者時代に、友人らと開発・運営した写真を1日1枚投稿し共有するスマートフォンアプリ「My365」を立ち上げ、21歳で株式会社シロク設立と同時に代表取締役社長に就任(現任)。2014年、当時最年少の24歳でサイバーエージェント執行役員に就任。2018年株式会社CAM代表取締役、2020年株式会社タップル代表取締役に就任(現任)。2020年サイバーエージェント専務執行役員に就任(現任)。
『20代が仕事で大切にしたいこと』が初の著書となる。